「ん・・・・・っ。やっぱ、夏の風呂はぬるいのに限るよな。気持ちいい」

露天風呂に浸かりながら、広い恋次の胸に後頭部を預けてうっとりと伸びをす

る日番谷を、恋次は背後からやんわりと抱きしめた。

自分の腹の上に腰を降ろし、泡の中で寛いでいる小さな身体を、本当は力の限

り抱きしめたいが、相手の体格を思えばそれは出来ない。ただですら華奢で細い

身体の日番谷は、少女となってから、より壊れ物のように感じる。

 だからといって、折角のチャンスを我慢する気も恋次には毛頭ない。

「・・・冬」

 二人きりでいるなら、愛称の方で呼ぶ必要はないのだが、日番谷が咎めないの

を良いことに、恋次はそう呼び続けることにした。

「・・・・・冬。俺の、俺の可愛い冬」

 恋次の両手は愛しげに日番谷の幼い乳房を撫ぜ擦る。

房事の最中に限り無礼講なのは市丸が許したことで、日番谷は素直にそれに従

い、殆どは身体を重ねる相手の要求に応じてくれる。そして、いくら『可愛い』

を連発しても怒ることはない。

「あ・・・んっ。くすぐったい・・・ふふふっ」

 甘い声で強請るように身体をくねらす日番谷に、恋次は堪らなくなった。

 いきなり日番谷の膝裏に両手を掛け、がばりと大きく足を広げさせる。

 無色透明な湯の中で、電灯の白い光に照らされて、日番谷の秘所が恥かしい程

露になった。

「おい、こら・・・」

 流石に驚いた日番谷が足を閉じようとするのを許さず、恋次は開かせた秘所に

指を這わした。

「あ!・・・んんっ」

「―――あんたの可愛いココに、早く俺のモノをぶち込みたいです」

「・・・ん。そうがっつくな。夏の夜は長いんだぜ」

 恋次が自分の秘所から指を離す気がないと見て取った日番谷は、お返しとばか

りに、自分の足の間で揺れている恋次のイチモツに指を絡めた。

「っ!・・・冬。そんなことされたら俺、我慢出来ませんよ!」

「我慢?別に我慢なんてしなくていいんだぜ」

 悪戯っぽく見上げられたのが、恋次の限界点だった。

 恋次は日番谷を羽交い絞めに抱きしめたまま、浸かっていた湯から出て、先程

脱がせた浴衣をバスローブ代わりに日番谷に纏わせると、急ぎ足のまま部屋へ入

り、ダブルベッドの片方に日番谷の身体を沈めるや、唇を奪った。

「・・・ぅこら、乱暴はよせって、まったく、もう!」

 日番谷が自分の身体の下で軽い抵抗をみせるのさえ、恋次の欲情を煽るばかり

だった。

「冬。好きだ!・・・好きなんだ」

 魂の慟哭のように呟きながら日番谷の身体のあちらこちらに接吻の雨を降らせ

花びらの様な跡を残す。

「俺だって、お前が好きだよ。阿散井」

 恋次の赤い長い髪に細い指を絡め、頭を胸に抱きしめて日番谷が呟く。

 それがまた、恋次を堪らなくさせた。

「・・・っ!あんたの中に挿れていいスか?」

「うん。・・・でも俺、男は久しぶりだし、女の身体は初めてだから、あまり乱

暴にはしないでくれ」

「――――へ?・・・・・初めて?」

 なんでもない事の様に云われた日番谷の言葉に、恋次の脳が真っ白になった。

「は、初めてって、あ、あんたまさか・・・処女?」

 恐る恐る尋ねれば、当り前だとばかりに日番谷が頷く。

「当然だろう?俺が女の身体になってから二日しか経ってないんだ。それでなく

ともこの前、檜佐木と出掛けて以来、誰ともヤってないし」

「ええ〜〜〜〜〜っ!」

 がばりと身を起こして絶叫する相手に、日番谷が不思議そうに聞く。

「なんだお前、俺が処女だと何か不都合でもあるのか?」

「い、いや、だって、そんな、あ、あんただって、初めての相手は市丸隊長がイ

イんじゃ・・・」

「――――?市丸?別にそんな拘りはないぞ」

 きっぱりと云われて、恋次は開いた口が塞がらない。

(いや、あんたになくとも向こうはそうじゃないかもしれないじゃないスか!)

 そんな恋次心の叫びを聞き届けたかのように日番谷が問い掛ける。

「なんだお前、そんなに市丸が気に掛かるのか?」

「・・・そりゃあ・・・・・」

 云いにくそうに恋次が云いごもる。だが、それは最もなことだった。

 日番谷の恋人という立場は抜きにしても、恋次にとって、市丸ギンは『特別』

だった。なにしろ命の恩人なのだから・・・。

 数十年前、当時霊術院の学生だった恋次を、間一髪、巨大虚の牙から救い、助

けてくれたのが市丸だった。

 あの時、市丸と、その当時、市丸の副官を務めていた日番谷が救援に駆けつけ

てくれなかったら、恋次だけでなく、修兵もそして吉良も命がなかったことだろ

う。

 助けて貰ったその後も、何かと目を掛けて貰い、可愛がってもらった。そして

日番谷を許してさえ貰えた。のみならず、六番隊の副隊長になれたのも、影で市

丸が推挙してくれたからなのだと知っていた。

 こんな自分の、何がそれ程市丸の寵を得たのかは知らぬがままに、だが、恋次

にとって、市丸は大恩のある『裏切れない相手』だった。

 そしてそれに輪を掛けて、強く、美しい市丸に、日番谷程ではないものの、恋

愛対象に足るには十分に、惹かれてもいた。

「そんなに気になるなら直接聞いてみたらいいだろうが」

 苦悩する恋次にそう云って、するりと身体の下から抜け出た日番谷は、ベット

の傍のテーブルの上に置いてあった手荷物の中から伝令神機を取り出すや、恋次

が止める間も無く、市丸を呼び出してしまった。

「・・・あぁ。俺だ。阿散井に代わるから・・・」

 ほれ、とばかりに銀色の伝令神機を手渡された恋次はゴクリと唾を飲み込むと

覚悟を決めてそれを耳に当てた。

「もしもし、阿散井クン?・・・恋ちゃん?」

「は、はい!」

 上ずった声で返事をする恋次の耳に、柔らかな京弁が流れ込んでくる。

「ちゃんと云っておかんかったボクが悪いんやけど、冬は女の子になって初めて

やから優しゅうしてやってな」

「は、はい」

(・・・それってこのままOKってことですか?)

「でも冬は『初めて』が苦手な子なんよ。だから少し手こずるかもしれへんけど

その時は多少無理してもええよ」

「・・・・・いいんですか?―――俺が、日番谷隊長の『初めて』を貰ってしま

っても!」

 清水の舞台から飛び降りる気持ちで、最終確認をした恋次の耳元で軽い笑いが

起こる。

「ふふ・・・っ。まぁ、お気張りや」

 そう云い置いて切れてしまった伝令神機を唖然として見詰める恋次の横で、焦

れた日番谷が口を尖らしていた。

「何時まで待たせるんだ。さっさと始めるぞ」

「――――はい」

勿論、恋次に異はなかった。

 

 

 

 

 

「阿散井の奴、日番谷隊長が処女だってのに今頃になってやっと気付きやがった

のか」

「彼らしいですね」

 市丸が伝令神機の通話を切った直後、いかにも呆れたという感じの修兵の声に

吉良が苦笑しながら応える。

 市丸の屋敷の私室に、主である市丸と修兵、吉良、乱菊の四人が集まり、酒を

酌み交わしていた。

 市丸の屋敷は神殿作りの見事な物で、日番谷、恋次、修兵、乱菊は母屋である

神殿から渡り廊下で行き来できる自分の部屋をそれぞれもらっていた。

 そして吉良は神殿に市丸と住んでいたが、屋敷が立てられた当初は市丸と日番

谷を除く四人の間では、『正妻』たる日番谷が市丸と一緒に神殿に寝起きするも

のとばかり思っていた。しかし、日番谷は「俺はこの屋敷に毎日帰ってくる訳じ

ゃねぇし、ましてや使用人を取り纏めるなんて面倒なことは出来ねぇ。悪いが、

吉良、頼む」と云い、あっさりと神殿に住む権利を放棄し、『冬梅殿(とうばい

でん)』と名づけられた神殿の北の部屋に居を構えてしまった。

 思いもかけず神殿を譲られてしまった吉良は最初、困惑の態でいたが、今や屋

敷の管理に関して主の市丸すら、吉良に従う程になっていた。

 

「でもあんた本当に良かったの?」

 市丸の杯に酒を満たしながら乱菊が尋ねれば、ゆっくりと杯を口元に近づけな

がら、市丸は緩く笑った。

「ボクは冬の『本当の最初の相手』やもん。気にせんよ。それに阿散井クンはき

っと難渋すると思うからそっちの方が心配やね」

 酒を飲み干して白い喉を晒す市丸に、修兵が思い切ったような光を宿した瞳で

尋ねた。

「・・・いつか聞こうと思ってましたけど、市丸隊長はどうして俺や阿散井に日

番谷隊長を、――――自分の恋人を抱かせてくれるんです?」

「んん?・・・冬が君らのことを好きやってゆうたからやよ」

「それじゃあ答えになってませんよ。はぐらかさないで下さい」

 修兵の真剣さに、同席している乱菊と吉良の二人も気を引き締めて居住まいを

正した。

 そんな周りの者達に、小さく苦笑して市丸は話始めた。

「キミらは死神の寿命ってどの位やと思う?」

「・・・確か現世の人間の二十倍程だと聞いたことがあります」

 吉良が応えるのに銀糸の頭が頷く。

「その通りや、もし虚との戦いで死ぬ事無く、天寿を全うしたなら、二千年、も

しかしたらそれ以上生きることになる。・・・ボクはそんな長い間、冬にボク以

外の人間と肌身を合わせたらアカンって云えんのや。何故なら、ボクは一番最初

にあの子のこと、酷く傷つけてしもうたんよ」

「ギン!あんたまさか、隊長を無理やり・・・?」

 驚愕の為に美しい眉を寄せ、大きな水色の瞳を見開く乱菊に、市丸はコクンと

頷く。

「そのまさかや。ボクの副隊長やったあの子の力がどんどん増してきて、当然の

ように四十六室からは隊長就任の話が持ち上がった。ボクはあの子を手放さなな

らん焦りと不安で、今、自分のモノにせえへんかったら一生手に入らんような気

になって、気付いたらあの子のこと無理やり犯しとった」

「「「・・・・・・・」」」

「冬は情の深い子やった。ボクがどれだけ本気なのかを知ると、ボクを許してく

れた。やからボクは一生あの子に頭が上がらんのや。まぁ、勿論、反省はしても

後悔はしてへんけどな」

 手酌で注いだ酒を呑み干して市丸は続ける。

「だから、もし冬にボクの他に好きになった相手が出来たら、・・・その相手が

ボクの目に適うようなら、仲良うしてやろうって決めとったんよ」

「俺と阿散井のどこがあんたの目に適ったんです?」

 自分も手酌で酒を注ぎながら尋ねる修兵に、市丸はふっと笑った。

「キミらだけやったからな、逃げへんかったん」

「「「――――!」」」

 三人には市丸の言葉の意味が直ぐに判った。

 それは数十年前、修兵達が霊術院の学生であった時、現世での実習中に巨大虚

の大群に襲われた時の事を示唆しているのだ。

 あの当時、百人近い学生達が襲われ、多数の被害者が出た。最長学年の六回生

として引率に当たっていた修兵や、新入生として参加していた吉良と恋次も、力

の限り戦ったが、死は目前まで迫っていた。市丸と日番谷の救援が無かったなら

自分達は今ここにはいないであろうと、三人集まればその都度回想する程鮮烈な

思い出だった。

「ボクと冬が駆けつけたあの時、刀抜いて戦っとったんは君ら三人だけやった。

他の者は腰を抜かして動けんか、もう少し胆力があっても背中向けて逃げ出す者

ばっかりやった」

「相変わらずキビシイわね。実戦が始めての一回生じゃ無理ないわよ」

「そうや。けどな、そんな時やからこそ死神としての資質が試されるんや」

「・・・俺達が逃げなかったから。自分より強い相手に向かっていったから。だ

から認めてくれたんすか?」

 身を乗り出す修兵に、「アホなこと云いなや」と市丸が嘆息した。

「自分より強い相手に向かって行くなんてのは愚の骨頂や!命あっての物だねや

で。少しでも逃げれる機会があるなら逃げんとどないするん」

「え?・・・ええ?」

「けどな、それはあくまで逃げられる可能性があった場合や。あの時、キミはど

う思いながら戦っとったか思い出してみ?」

「―――それは・・・」

 廻りをぐるりと強力で、しかも足の速い巨大虚の大群に囲まれ、脱出は絶望的

いや、不可能だった。何より、本能が死を受け入れていた。だが、叶わぬまでも

せめて一太刀でも相手に浴びせ、戦って死のうと思ったのだ。

「実際の話、瞬時に切死ぬ覚悟を決められる者なんて、百人に一人もおらんのや

でもどうした訳かあの場には三人もおったんよ。ボクも冬もびっくりしたわ」

 そう云う市丸の瞳が常になく優しいことに気付き、修兵も吉良もぱっと赤面し

た。乱菊でさえ頬を染めている。

(――――ったく、この人、その気になったら凄ぇ綺麗なんだよな。こんな顔で

懇願されたらそりゃ日番谷隊長も許すさ)

「お褒めに預かってありがとうございます。・・・えっと、じゃあ、もし、市丸

隊長のお目に適わない奴が日番谷隊長に手を出そうとしたら、その時はどうする

んです?」

 紅潮している頬の熱を誤魔化すように修兵が聞けば、市丸は雰囲気を一変させ

てニタリと笑った。

「―――――どうすると思う?」

 その途端、その場にいる三人の背がゾクリと粟立った。

 きっと市丸の不興を買った者は、痛覚を持って生まれてきたことを後悔するよ

うな目に遭わされることは確実であろう。

 はははっは・・・。誰からともなく乾いた笑いが漏れる。

 そんな中、市丸がぽりぽりと自分の銀糸を掻きながら、ポツリと呟いた。

「それにしても、土壇場になって確認を取ってくるやなんて、ボク、そないに阿

散井クンに怖がられとったんやろか。なんや傷つくわぁ」

 それに即座に吉良が反応した。

「それは違うと思います!」

「え?」

「阿散井君は市丸隊長のことが好きなんです。だから嫌われたくなかった。ただ

それだけなんです」

「吉良のいう通りですよ」

「あんた、以外と自分のことは判ってないのね」

「・・・・・」

 吉良に続き、修兵と乱菊の言葉に、今度は市丸の頬が僅かに上気した。

「・・・そうなん?」

「「そうです!」」

「ついでに云えば、吉良は勿論ですが、俺だってあんたのことが好きですよ。当

然、乱菊さんだってそうですしね」

 『護廷隊一のタラシ』の本領を発揮して修兵が流し目をくれれば、乱菊も「ま

ぁね」と片目を瞑った。

「・・・・・・・うん。おおきに」

 殊勝にぺこりと頭を下げる市丸は、普段の彼を知る者が見れば何事かと喚きた

くなるような可愛らしさだった。

 

 

 

 

 

「・・・えっと、冬、・・・逃げないでもらえませんか?」

「わ、判っている!」

 その頃、市丸の言葉通り、恋次は日番谷の扱いに苦慮していた。

 いや、当初は雰囲気の良い始まりだったのだ。

 互いに舌を絡ませあう濃厚な熱いくちづけを交わし、恋次は日番谷の身体のい

たるところに花びらのような跡を残し、日番谷に甘い声を上げさせた。

 そして慎ましく閉じている可愛らしい桃色の秘所を舐め上げ、日番谷は快感に

白銀の髪をうち振るい、悶え、気を達した後は、今度は小さな舌と指で恋次のモ

ノを愛撫し、感極まった恋次は温かな日番谷の口内で射精して果てた。

「ふ、冬、本当に俺が始めてで良いんスね?」

 最終確認をする恋次の肩に細い腕を廻し、コクンと頷いた日番谷の可憐さに、

恋次は滾る熱を持て余す勢いで腰を進めた。

 だが・・・

「・・・ん・・・・・ゃ」

 ずるり・・・と日番谷が仰け反った。

「冬?」

 その背を抱きしめる様に身体を進めようとした恋次の肩に手を置いて、今度は

明らかに日番谷の白い身体が逃げる。

「・・・え?」

 事態が飲み込めない恋次が日番谷の身体を引き戻し、再び突こうとすると、今

度ははっきりと組み敷いていた身体が拒絶を現したのだった。

 恋次は困惑し、日番谷に声を掛けたが、その日番谷自身が己の身の反応に戸惑

いを見せていた。

「すまない。・・・お前が嫌な訳じゃないんだ」

 心底申し訳なさそうにそう云われて、恋次も慌てて頷いた。

「ええ。判ってます。・・・けど、身体が怖がっているんスよね?」

「・・・うん。―――あぁ、本当に俺は初めての実戦がダメなんだな。自分が嫌

になる!」

 悔しそうに唇を噛み締める日番谷に、こんな時だというのに恋次は笑ってしま

った。

 因りによって、まさか日番谷が『処女の擦り上がり』をしようなどとは予想だ

にしなかったのだ。

「笑うな、阿散井!俺は真剣に悩んでいるんだ」

 案の定、眉根を寄せて怒る日番谷に、すんませんと謝り、笑いを収めた恋次は

ごくごく軽い調子を装って云った。

「・・・今日はヤメておきますか?」

「阿散井?」

 日番谷が見上げた恋次の表情は常になく成熟した男を感じさせた。

 恋次はその優しい眼差しのまま、日番谷の白銀の髪を梳きながら云う。

「俺はあんたに痛い思いも、怖い思いも、させるのは嫌なんですよ。・・・俺は

あんたに惚れてるから、身体を繋ぎたい。でも、その為にあんたに辛い思いをさ

せるのは絶対に嫌です」

 そう云い置いて、潔く身体を離そうとする恋次を、日番谷の細い腕が、強い力

で止めた。

「お前は優しい奴だな、阿散井」

「え?」

「市丸なんて、俺に何の心の準備もさせてくれず、挙句の果てに自分の気持ちば

かりを訴えてきやがったっていうのにな・・・」

「それって・・・市丸隊長との初夜の時の話ですか?」

「あぁ。全くあの時は最悪だった。一番腹が立つのは、あいつが俺の気持ちを確

かめもしなかった事だ。――――俺が、どんなにあいつを好きなのか、確かめも

せずな・・・」

「・・・・・」 

遠い日を回想して苦笑する日番谷に、恋次は掛ける言葉が見つからず黙り込ん

だ。そんな恋次に、日番谷はとんでもない提案をしてきた。

「阿散井、その紐で俺の手首を縛れ」

「ええっ!」

 日番谷が指で示したのは、先程浴衣と一緒に持ってきた帯紐だった。

「で、でも・・・」

「いいから俺の云う通りにしてくれ。お前が相手だろうが、市丸が相手だろうが

俺が初回が苦手なのは変わりがないんだ」

 云い出したら聞かない日番谷の頑固さを知る恋次は、不承不承、云われるまま

に日番谷の細い二本の手首を合わせて紐で括った。

 日番谷は紐で括られた手首を恋次の逞しい首の後ろに廻し、その見事な身体を

自分に引き寄せる様にベッドに身を倒した。

「よし、いいぞ」

「・・・・・」

「どうした。これでもう大丈夫だろう?」

「え、えっと・・・」

「どうした?早く、来い!」

「――――はい」

 こんな状況にも関わらずナエない自分は凄いかもしれない。そう思いながら日

番谷の両足を最大限にまで広げ、恋次は日番谷の秘所にもう一度顔を埋め、熱い

舌を這わせた。

「ん・・・あぁ・・・・・」

 先程同様に、素直に快感に准じる日番谷に、恋次は嬉しさを隠し切れず、より

熱心に舌を蠢かし、日番谷を喘がせた。

 そして充分に自分を受け入れる場所が潤ったのを確かめ、欲情に逸る重い腰を

進めたのだった。

 

「・・・つ・・・・・はぁ!」

 ぬぷり・・・と、大きな亀頭が自身の中に埋め込まれる違和感に、日番谷は瞳

を閉じ、縛られている両手で恋次の首を抱きしめて耐えた。

「大丈夫ですか?」

 先端部分を自分の秘所に含ませたまま、一旦、動きを止め、確認する恋次に、

こくこくと日番谷が頷く。

「へいき・・・だ。続けてくれ」

「――――はい!」 

恋次としても、ここまでくれば己の欲を留める術はなく、更に日番谷の奥へと

挿入を進める。

 やがてそれはすぐに行き止まりまで到達した。

「あっ!・・・これ、以上は無理だ」

 流石に自分の身体の限界が判るらしい日番谷に、恋次も汗を滴れさせながら頷

く。

 元々並みのモノよりかなり大きい自分の男根を、全て受け入れる事が出来る女

はあまりいないのを知っている為、恋次も無茶なマネはしない。なにより、相手

は自分の命より余程大事な日番谷である。

「・・・痛くないスか?」

「ん。・・・大丈夫だ」

 直ぐにも腰を打ち付けたいという欲望を、ありったけの理性で押し止め、恋次

は辛抱強く、日番谷が自分のモノの質感に馴染んでくれるのを待った。やがて・

・・

「もう動いてもいいんだぞ」

 自分に挿入したまま、じっと耐えているらしい恋次に、そう日番谷が声を掛け

れば、一度、ギュっと日番谷を抱きしめてから、恋次がゆっくりと律動を開始し

た。

「・・・ぁ!・・・あ・・・・・んん・・・」

「――――-ぅ・・・くっ!・・・・・スゲェ、イイ!」

 柔らかな温かい襞にみっちりと包まれた時から快感はあったが、その狭い肉筒

の中で、自身が擦られる強い快楽に、恋次は目が眩みそうになる。

 そして組み敷いている日番谷が紡ぎ出す甘い声。

「あん!・・・あばら・・・いぃ・・・・・」

「っ、気持ちイイですか? 冬?」

 腰を打ち付ける速度を速め、そう尋ねる恋次に、日番谷がしがみ付く。

「わ、かん・・・ねぇ・・・けど・・・」

「けど?」

「―――――お前を感じる!」

 その言葉に、脳裏が焼けるような錯覚に襲われ、恋次は自分のイチモツを咥え

込んでいる日番谷の秘所の少し上へと、指を伸ばし、愛撫を始めた。

「はっ!・・・そこ、ダメ!」

 女性器の、特に敏感な部分に、恋次の想いの篭った指先を這わされ、感じるま

まに日番谷が切なく訴える。

「ダメ、ですか?」

 より指先での摩擦を早め、腰を揺らめかせる恋次に、快感に弱い日番谷はあっ

さりと陥落した。

「・・・・・ぁあ・・・イイ!・・・ん・・・・・んっ」

 ゆっくりと、だが次第に速度を速め、恋次の動きに日番谷が合わせる。

「――――あんた、サイコーだ。冬!」

 甘い声を漏らしながら自分に応えてくれるのが、天にも昇るほど嬉しく、精神

の充実を満たす。

 日番谷が自分の大きさに馴れ、かなり自由な動きが出来るようになると、もは

や恋次に歯止めは利かなくなった。

 小柄な幼い身体を抱き竦めるようにして、思いのたけをぶつける。

「あぁぁ・・・阿散井!」

 日番谷が恋次の身体にしがみ付くように達すると、恋次も二度、三度と激しく

腰を打ち付け、狭い日番谷の内部にたっぷりと熱い物を注ぎ込んだ。

「・・・・・くっ!」

 ありったけの想いを注ぎみ、短く呻いて覆い被さってきた恋次の大柄な身体を

、しっかりと日番谷が受け止めた。

「――――阿散井・・・」

「・・・あ、すみません。重いですよね」

 慌てて身を起こそうとした恋次を日番谷が留める。

「平気だ。・・・阿散井」

 自分の下で、安心仕切ったように翠の瞳を閉ざし、微笑む日番谷に、堪らない

愛しさを感じ、幸福感に酔いしれた恋次が唇を寄せる。

 その口付けを受け入れ、互いの舌を絡め、溢れ出る透明な液体を啜り合う。

 やがてその口付けが解かれ、二人は至近距離で見詰め合う。

「・・・・・冬、俺、本当にあんたの処女、貰っちまったんですね。・・・俺、

今、凄く幸せです!」

「そうか。・・・俺も気持ち良かったぞ」

「ほ、本当ですか!」

「こんな事に嘘ついてどうする」

 あまりの日番谷らしさに、恋次の中にも余裕が生まれる。

「身体、大丈夫ですか?」

「あぁ。・・・・・お前はまだ足りないのだろう?」

 日頃の恋次を知る日番谷が悪戯っぽく聞けば、忽ち顔を赤らめて聞いてくる。

「―――続き、してもイイですか?」

「うん。でも、その前にこれを解いてくれ」

 日番谷が浴衣の紐で括られたままの両腕を目の前に差し出せば、恋次はいそい

そとその戒めを解いた。元より、日番谷を拘束してまでコトに及ぶつもりはなか

ったのだから当然だった。

「今度は俺の上に乗りませんか?」

「あぁ。いいぜ」

 普段、あまり騎乗位を好まない日番谷があっさりと応えたことに、「マジです

か!」と喜んだ恋次が身を起こすと、日番谷も口角を上げながら起き上がり、今

度はベッドに仰向けに寝転んだ相手の股間に跨り、逞しい胸に手を付くと、起立

しているモノに手を添え、腰を落とした。 

「・・・・・くぅん・・・」

 子犬の鳴声のような声を上げ、日番谷が恋次のモノを受け入れる。

「はぁ・・・」

 自分の内部の最奥まで熱い塊を受け入れた日番谷が色っぽい溜息を吐くと、恋

次はそんな日番谷の細い腰を大きな掌で支え、「自分で動きますか?」と問い掛

けた。

 それに「あぁ」と応えた日番谷が腰を揺すり、自身の快楽を手繰り寄せる様に

眼を楽しませながら、恋次も下から緩く律動を送り、花の蕾を思わせる小さな固

い乳房に大きな掌を這わせ、処狭しと愛撫した。

「・・・ぁ。・・・・・あっ・・・」

 上体をグンと反らせ、日番谷が再び達すると、恋次は余韻にくたりとなってい

る日番谷を壊れ物のように大切にベッドに横たえた。

 すると日番谷が白銀の髪を散らし、婀娜っぽい笑みを見せ、誘う。

「これから俺のこと、お前の好きにしていいぞ」

「――――! 本当ですか!」

 ゴクリと生唾を飲み込んだ恋次の瞳がギラつく。

「ああ。男だろうが、女だろうが大差はないって判ったからな。いつもみたいに

お前の好きな様にしろ」

「はい!」

 ならば遠慮は無用とばかりに、恋次は日番谷の幼い身体にむしゃぶりついたの

だった。



                                             続く


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