「ねぇ、檜佐木先輩、先輩が阿近さんから貰ったって云ってた薬、今夜使ってみましょうよ」

二人で恋次の私室がある『夏竹殿』へとやって来て最初のセリフに、修兵は嫌そうに眉を顰めた。

「―――お前が俺を誘った目的はそれかよ・・・」

溜息交じりの修兵に恋次はブンブンと首を振る。

「え〜〜〜っ、違いますよ! 今夜は本当にあんたが欲しいんです。・・・只、出来たら試してみたいなぁって

思って、でも先輩が嫌なら諦めますよ」

慌ててそう言い募る赤毛の大柄な後輩に、修兵はクスリと小さく苦笑した。

「別にダメじゃないさ。多分お前がそう云い出すだろうと思ってここに持ってる」

修兵は着物の袂から、小瓶を取り出し、恋次の前で軽く振って見せた。

「流石、先輩! 準備良い!」

喜色を浮かべて瞳を輝かせる後輩に修兵は「調子の良い奴だな」と、笑った。





市丸ギンの屋敷は現世の平安期の貴族の館を模した寝殿造りの建物で、中央に位置する母屋の寝殿に

市丸と吉良イズルが住み、修兵、恋次、日番谷、そして松本乱菊はその寝殿の渡り廊下から、東西南北に

行き来出来る離れをそれぞれ与えられていた。

恋次の住まいであるこの南の部屋は夏竹殿と呼ばれ、その名の通り竹林に囲まれた趣のある造りとなって

いた。

「・・・ん。先輩・・・・・」

互いに全裸となり、広い寝具の上で抱き合い、口付けを交わす。

恋次に組み敷かれた修兵は瞳を閉じて、暫しの間、相手の情熱に蹂躙されるままに口内を明け渡した。

修兵の甘い口内を貪り、細いが、良質の筋肉のみで構成された弾力のある身体を抱きしめ、その肌の熱さ

を堪能した恋次が、長い髪を解いた野性味溢れる顔で口角を上げる。

「ね、そろそろあの薬、使っても良いでしょう?」

「ああ」

情欲に濡れた瞳で見詰められ、それで無くとも先ほどからの刺激的な愛撫に身体の芯が疼いていた修兵

は枕元の小瓶を手に取り、蓋を開けようとしたが、横合いからさっと伸びた恋次の大きな手に奪い取られて

しまう。

「あ、こら」

「俺が挿れてあげますよ」

「イイ。自分で・・・」

「俺が挿れてあげます!」

「・・・・・・」

「先輩、足開いて、ケツ上げて下さい」

絶対に譲るもんかという恋次の気概に負けた修兵は、やれやれといった雰囲気のまま、うつ伏せになり、

尻だけを高く上げた。

「え〜〜っ、そうきますか。俺としちゃあ、先輩の大股開きが見たかったんスけど」

「死ね。アホ!」

枕に顔を埋めながら修兵が掃き捨てても、恋次の上機嫌は一向に損なわれなかった。

「でもこっちでもいいです。先輩の可愛いケツ、大好きです」

嬉しそうに両手で撫で回し、頬刷りされ、それを嫌がった修兵が尻を振って抗議する。

「お前が好きなのは吉良のケツなんだろが」

「・・・あっ、さっきはホントに妬いたんだ。あんたマジ可愛い!」

「そんな訳あるか!とにかく止めれ! 気色の悪い」

「ひでぇ。俺は真面目に褒めてんのに」

子供の様に口を尖らす相手に、いい加減、面倒になったと修兵が「さっさとしろ」急かし、切り替えの早い恋

次がいそいそと従う。

「じゃ、挿れますよ。身体の力抜いてて下さいね」

恋次は小瓶の中から取り出した、銀色をした、3センチ程のカプセルを修兵の後孔に慎重に埋め込んで行

った。



「・・・ん。そんな奥まで挿れなくてもいいんだ。―――ぁあっ!」

長い指を使ってカプセルを最奥にまで押し込んだ恋次に、修兵が甘い悲鳴を漏らす。

男にしては高い音域のその声に、気を良くした恋次は、ついでとばかりに埋め込んだ己の指をぐるりと廻

し、出し入れを繰り返す。

「・・・・・はっ・・・こら、悪戯はよせって・・・んっ!」

「こんな時に悪戯しないで、何時すんですか」

恋次は軽い笑いと共に、修兵の身体を上から押さえ込み、やがてその指は恋次がよく知る修兵のウィー

ク・ポイントばかりを執拗に攻め始めた。

柔らかな粘膜に包まれた直腸の中でも、特別敏感なしこりの部分を刺激され、その快感は持ち主の意に

反して腰が揺れてしまうのを止められない。

「あぁ・・・・・ん・・・やめ・・・っ」

小さな嬌声にも、早くも男の征服感を刺激され、恋次は修兵の形の良い耳たぶを軽くはんだ。

「―――!」

その途端、修兵の背に一気にぞくりとした感覚が走りぬけ、と同時に恋次の指を咥えている後孔がキュと

締まる。

「・・・っ。スゲェ締め付け! そんなにイイっスか?」

「・・・・・なんのことだ」

「今更、俺に惚けなくてもいいでしょ。耳があんたの弱点だってのは知ってます」

「―――ふん」

そっぽを向いた修兵を見てまた軽く笑った恋次は、名残惜しげに指を引き抜き、修兵の身体を仰向けに直

すと、その温かな身体を抱きしめ、快楽の名残が滲む修兵の顔を覗き込んだ。

「先輩、マジ色っぽい。ぞくぞくする」

「・・・・・お前でも雰囲気作りはするんだな。突っ込むことだけしか考えてないんだと思ってたが」

「酷ぇ。俺だって日々進歩してんですよ。でなきゃ白い羽織は着られないでしょ」

恋次は一年前の長月に隊主試験に合格し、長く空席となっていた五番隊の隊主席を埋めたのだった。

そして修兵も又、先頃『卍解』を得とくしていたが、今現在は隊長の座が埋まっている為、副隊長の席に留

まっていた。

「そうだな。お前も『大人』になったな。良かったな恋次」

しかし、しみじみと修兵に云われた恋次は子供の様に頬を膨らます。

「そうやって余裕こいていられるのも今だけっスから。・・・ところでこの薬、どれ位で効いてくるんです?」

「もう効いてるぜ。即効性だからな。でなきゃイミねぇだろ。こんなモン」

相変わらず立ち直りの速い奴だと呆れながらの修兵の応えに、恋次はぱっと顔を輝かした。

「えっ! ホントっスか? どれどれ・・・」

急いで身体を起こし、修兵の両のふくらはぎに手を掛け、そのまま足を持ち上げる様に大きく広げる。

局部の全てが恋次の目に晒される痴態となっても、修兵は抵抗しなかった。

「うわっ! スゲェ! ぱくぱくしてますよ。先輩」

感嘆する恋次の熱い視線を独占しているのは、これから己の高ぶりを受け入れてもらう修兵の秘所だっ

た。

そこは常のようにツンと清ましてはおらず、男を待ちわびているかのように小さな慟哭を刻んでいる。

「マジ、もう挿れても大丈夫なんスか?」

「あぁ。この薬は直腸の中で即座に解けると同時に括約筋の働きを拡張させて、驚異的に異物を受け入

れ易くする。つまりこの薬があれば面倒な『慣らし』は一切不要だ。ついでに直腸の中の分泌物を変化さ

せ、それがローションの役割を果たす液体に早代わりする。・・・まぁ。然程キツクはないとはいえ、催淫

剤も入ってるがな」

「はあぁ・・・」

最後は苦笑を伴った修兵の言葉に恋次はひたすら感心する。

試しにと指を二本添えて挿れてみれば、待ちかねたかのように何処までもすんなりと飲み込んでいく。

「・・・ぅ。先輩んナカ、ヌルヌルですよ。しかも熱くて気持ちいい! 早く挿れてぇ!」

興奮も露な恋次は、すぐさまイキリ立っている己のモノを修兵の秘所に捻じ込もうとしたが、そこで修兵から

待ったが掛けられた。

「恋次、今日はお前にヤラせてやるつもりで来たから挿れんのはいいが、ゴムを使えよ」

「え〜〜〜っ。いいじゃないスか、ナマでヤラせてくれたって」

「後始末は簡単な方が良いだろう。お前だってその為に現世でゴムを買ってきたんだろ?」

「違いますよ。アレは女の子と遊ぶ為ってか、エチケットでしょ? 先輩や日番谷隊長に使う為じゃないで

す。だってあんたや日番谷隊長が俺の子妊娠したら、喜んで責任取りますもん!」

「・・・・・・・」

大真面目に真顔で云い返した恋次に、修兵は暫し言葉を失う。

気さくで面倒見が良い恋次は、以前から男女問わずに人気があったが、一年前に隊長に就任してからは

それに更に拍車が掛かった。

恋次自身は日番谷を愛していると公言して憚らないが、自分からモーションを掛けるまでもなく寄ってくる

隊員達の中には、当然若い恋次の触手が動く相手もいて、相手の合意の上で遊びの一夜を過ごすことも

ままあることを修兵は知っていた。

「・・・とにかく、イイ子だからゴムを使え」

「嫌です」

「―――しゃぶってやるから使え」

「・・・判りました」

一瞬の周巡の後にコクンと頷く恋次に、なんて単純な奴なんだと呆れながらも修兵は身を起こし、恋次の股

間に額ずいたのだった。



  
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