第四話

市丸の白い繊細な手が、自分の肩から霊術院の制服である着物を落とし、前を肌蹴るのを、日

番谷は息を詰めて見守った。

男なのだから裸の上半身を見られること事態に羞恥心は覚えないが、それが年上の異性、それ

も恋愛感情を抱く相手となればやはり緊張は否めない。

市丸はゆっくりとした手付きで日番谷の肌着も脱がせると、改めて少年の身体を眺めて目を細め

た。

「ああ、キミ『鳩胸』なんやね」

「はとむね?」

聞きなれない単語にきょとんとして問い返す日番谷に市丸がにっこりと笑う。

「うん。キミみたいに普通の人より胸骨が前に出とるのを鳩胸云うんよ」

「そ、そうなのか?」

「キミ、大きうなったらカッコ好く見えるやろうなぁ」

その言葉と憧憬の眼差しに、どうやら市丸が自分の身体を褒めてくれているらしい様子を感じ取

った日番谷は嬉しくなった。そして今は頼りない子供の身体でも、将来市丸に釣り合うような立派

な体格の男になりたいと心底から願ったのだ。

「袴も落としてええ? キミのもの、ボクに見せてくれる?」

「・・・う、うん」

改めて確認を取られると再び恥ずかしさが身の内から湧き上がってきたが、日番谷は拳を握り締

めてこれに耐えた。

自分が手こずった袴の紐を市丸の手が難なく解き、僅かな衣擦れの音を残して袴が足元にわだ

かまるのを頬を紅潮させて見守った日番谷は、次いで下穿きに伸ばされた市丸の手から僅かに

身を逸らせてしまう。

「・・・恥ずかしいんやね。でも大丈夫やよ」

「・・・・・・・」

何がどう大丈夫なのか判らないままに、真っ赤になった日番谷がコクンと頷く。胸の鼓動がドクド

クと激しい。

細い腰骨の下に廻されていた下帯の紐をゆっくりとした動作で解いた市丸は、同じ様に丁寧な仕

草でそれを日番谷の身体から取り去った。

「・・・・・ぅ・・・」

一糸も纏わず、文字通り全裸となった日番谷はやや身をちぢこませてはいるものの、手で前を隠

すことも無く、唇を噛み締めて市丸の視線に耐えている。

そんな健気な様子に、市丸はさも満足そうに笑う。

「あぁっ、可愛えっ! 冬獅郎、キミはなんて綺麗なんや!」

やんわりと抱きしめられ、滑らかな腹部にひんやりとした市丸の頬と、太腿に豊満な胸を押し当て

られた日番谷はその感触の快さに声を呑む。

市丸はそんな日番谷の緊張に強張った身体の中心に寄せていた顔を傾け、日番谷の幼いモノを

その口唇深く咥え込んだのだった。

「あっ!・・・・・あ、あぁ・・・」

突然我が身を襲った強烈な快感に変声期前の高い嬌声があがる。

体温の低そうな印象を人に与えがちな市丸の口内は思わぬ暖かさで、そしてその舌は優しく優し

く、だが獲物を逃がさず絡め取る狡猾さで、口淫経験のなかった日番谷を愉悦をいとも簡単に引

き出し、視覚からの刺激も相まって、精神をも陥落させた。

「あー・・・あー・・・・・あ、あぁーー・・・・・」

小さな尻を市丸の両手に抱き込まれ、己のモノを通して嘗て無い快楽を与えてくる市丸の銀糸の

頭を抱き、日番谷は立ったまま身をくねらせ、喘いだ。

だが、脳髄が痺れるような快感は長く我慢することが出来ず、大した間を措かず、日番谷は市丸

の口内に吐精して果てた。

我知らず身体が引き上げられ、ついですぐさま落下するような、初めて体験する衝撃に、日番谷

は一瞬身体を突っ張らせた後、ガクガクと足を振るわせる。

そんな日番谷から自分の口内に放たれた少量の体液を飲み込んだ市丸は、振るえている日番

谷の身体を自分が座っていた座布団と、日番谷が座っていた座布団をくっ付けた上に静かに横

たえた。

「・・・大丈夫?」

白銀の前髪を長い指が愛しげに梳き上げる気持ちの良い感触に、日番谷はうっとりとしたまま頷

く。

「―――お、俺、・・・・・なにか、あんたの口の中に出した・・・?」

「うん。ボクのこと感じてくれて嬉しいわ。・・・続きしてもええやろか?」

優しく囁かれて、これにもコクンと頷く。

日番谷にとって、初めて他人の前で吐精したという衝撃や、これから先、自分が何をされるのか

不安に思う気持ちより、市丸が与えてくれた快感をもう一度味わいたいという期待と、なによりも

市丸が喜んでくれている様子が堪らなく嬉しいのだ。

そんな健気な少年の想いを知ってか知らずか、市丸は目を細めながらゆっくりと日番谷の上に覆

い被さっていった。



最初は目元に、次いで頬に、そして唇にくちづけられ、日番谷も市丸の裸の背に華奢な両腕を廻

し、夢中で応える。二つの舌が絡み合い、日番谷の口内から溢れ出した雫が頤を通って流れ落

ちる。

「あむっ・・・ふっ・・・・・っ」

長く激しいくちづけに、日番谷が降参したように眉を寄せ、喘げば、スッと市丸の舌が離れた。

「堪忍や。けど、キミが可愛えすぎるんやもん」

細い鎖骨を指で丹念に撫で上げられ、今度は首筋に寄せられた唇の感触に、市丸の身体を挟み

込む様に立てていた日番谷の膝頭がむずむずと内側に寄せられる。

そしてその唇は日番谷の可憐な色をしている胸の尖りに辿り着き、舌が丁寧に舐め上げ、時折

は唇で甘噛みされ始めると、絶え間なく日番谷のか細い嬌声が上がり始めた。

「・・・あ・・・あっ・・・・・あ、・・・んっ・・・・・」

極力声を漏らすまいと思うのか、片手で口を覆って喘ぐ日番谷の姿に悪戯心を催した市丸がずる

りと蛇のような仕草で伸び上がり、自分の片方の乳房を日番谷の口元に差し出した。

「冬獅郎・・・」

甘やかな官能的な呼び掛けに応えるように、日番谷の手が弾力ある乳房に寄せられ、その先の

美しい果実を口に含む。

「ええ子や。冬獅郎。・・・ボクの可愛え子」

自分の胸にむしゃぶりついている少年を満足気に見下ろし、市丸は日番谷のしっとりと汗が滲ん

だ皮膚の薄い腹部を掌で隈なく愛撫し、やがてその長い指を幼いながらに勃起させているモノに

絡ませた。

「ん―――っ! んんっ!」

緩やかだった快楽から、一変して強烈な快感が背を走り抜け、日番谷はビクンと腰を浮かせる。

先程市丸の口内に含まれた時と同種の悦楽に日番谷は市丸の身体を押しのけるようにして顔を

背け、続け様に高い嬌声を上げたのだった。



                                                続く

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