「―――で、他にはどんなことをしたの?」

興味津々で、きらきらというよりは爛々とした乱菊の瞳に、一瞬引きかけた恋次だったが、どうせ洗いざらい喋らせ

られるのは判りきっている為、卓袱台の上に置かれた茶を一口飲んで話を続ける。

「次はローターを使わせてもらいました。日番谷隊長ってメッチャ胸が感じる人なんスよね」

「え? ローターを胸に当てたの? 男でも胸って感じるの?」

「ええ、特に成長期の間は不意に触られでもしたら飛び上がりましたからね」

乱菊の疑問に檜佐木が応える。

「へぇ〜〜〜っ、そうなんだ!」

好い事を聞いたとばかりにほくそえむ乱菊に男達は不穏なものを感じながらも会話は進む。

「最初は『弱』にしてローターをあの人の胸に当ててたんですけど、あんまり気持ち良さそうに喘いでくれるもんで、

つい調子に乗っていきなり『強』のスイッチを入れたら日番谷隊長ってば・・・」

「ど、どうしたの?」

「どうしたんだ?」

乱菊と檜佐木が同時に身を乗り出す。

「すんげぇ可愛い声で、『やめて、阿散井・・・』って、俺、鼻血吹きそうになりました!」

「やぁ〜〜〜ん! 隊長、可愛すぎる!」

「くそ、羨ましいマネしやがって!」

その時の事を思い出したのか、ニンマリと笑う恋次に二人がジタバタと悶え、一人、吉良イズルのみが平静として茶

を啜っている。

「そ、それで、それで、その次は何をしたの?」

「え〜〜〜っ、まだ喋んなきゃならないんスか俺・・・」

少し困ったように、しかし満更でもなさそうに恋次が頬を緩めたまま乱菊と檜佐木を見やる。

「本当はお前も自慢したいんだろうが、ありがたく拝聴してやるから丸無げして喋りやがれ」

檜佐木のガン付けに恋次は小さく首を竦め、話を続けたのだった。

「実は俺、前々から『産卵プレイ』ってのをやってみたかったんですけど、中々市丸隊長のお許しがでなかったんス

よね。で、この度めでたくOKを貰いまして・・・」

「やったのか?『産卵プレイ』を!」

「きゃ〜〜〜〜〜!」

檜佐木の驚きの声に乱菊の黄色い悲鳴が重なる。

「はい。但し、Sサイズの卵を二個までってクギを刺されましたけどね」

「サイズなんかこの際どうでも良いだろう!・・・って、二個ってなんだよ。二つも同時に入れさせて貰ったのかよ、お

前!」

「あら、サイズだって重要だわよ。恋次でSサイズなら、ギンはきっとLサイズの卵を隊長のアソコに突っ込んだと思

うわ!」

興奮も露な檜佐木に対し、流石に市丸と付き合いの長い乱菊が冷静に分析する。

「いや、いきなりLサイズってことはないでしょう? せめてMサイズでしょ?」

「ふっ、甘いわね、修兵。あんたは『市丸ギン』を解かってないわよ」

「・・・・・う〜〜〜ん」

自信満々で顎を反らす乱菊に檜佐木は返す言葉がない。確かに市丸ならば十二分に有り得る話なのだ。

「・・・あの、松本さん、お言葉を返す様で申し訳ないのですが・・・」

「なによ、吉良?」

「松本さんも甘いと思いますよ。多分隊長が御使用になられたのは3Lサイズだと僕は推測します。いや、いっそ鶏

の卵じゃなく、チャボとかかもしれませんね」

「「・・・・・・・・・」」

横合いからの吉良の言葉に檜佐木と乱菊はあんぐりと口を開け、爆弾発言の相手を凝視した。

「吉良、お前よく解かったなぁ!」

恋次がバンと吉良の背中を平手で打つ。

「確かに市丸隊長が日番谷隊長に使ったのは3Lサイズだよ。でも、なんで解かったんだよ?」

「日番谷隊長に対する日頃の市丸隊長の執着心を考慮すれば、それくらいはやりかねないからね、あの方は」

恋次に打たれた背中を擦りながら吉良が苦笑する。

「―――しかし、日番谷隊長もよくそんな市丸隊長の横暴を許してるよなぁ。まぁ、その御陰で俺達も『好い思い』さ

せてもらってるけどな」

感慨深げな檜佐木の言葉にその場に居た全員が頷く。

「ギンの奴、何気にウチの隊長を試してんのかしらね。あの人が自分にどこまで許してくれるのかを」

「日番谷隊長は見かけこそ子供ですけど中身はこの上なく漢前っスからね」

「あら、恋次でもそう思うの?」

「そりゃ思いますよ。よくこれだけの人が大人しく自分に抱かれてくれるもんだと毎度関心してますからね」

「まぁな、男同士なら抱くより抱かれる方が遥かに勇気がいるしな」

「ですね」

日番谷だけではなく、市丸とも身体の関係がある二人が同時に肩を竦める。

「あら、じゃあ何、女は抱かれるのが当たり前だからとでも思ってんの?」

「い、いや、それは・・・」

「そんなことないっスよ!」

異議あり、と、身を乗り出して睨みつける乱菊に、檜佐木と恋次は慌てて首を横に振る。

「この際だから云わせてもらうけど身体の上下なんて、本当は大した意味ないわよ。どっちが挿れる方だろうが挿

れられる方だろうが」

「は、はぁ・・・」

「そうゆうもんスか?」

「こう云っちゃナンだけどね、この護廷隊でこのあたしを『抱ける』男なんて、そうはいないのよ。み〜〜〜んな、この

あたしが『抱いて』あげてんですからね。ギンの奴だって日番谷隊長を抱きながらその実はあいつがウチの隊長に

抱かれてんだと思うわ」

「「・・・・・・・・・・・」」

豪快極まる乱菊の物言いに檜佐木と恋次が固まったのを吉良がくすくす笑い、そして二人に止めを刺した。

「ええ、そうですね。あのお二人の場合、『旦那様』は間違いなく日番谷隊長でしょう」

「「―――!!!!!」」





「―――あない云われとるけど、どうやろ『旦那』さん?」

「ふん」

麗らかな初夏の日差しの中、市丸の膝枕で寝そべり、軽いまどろみに落ちかけていた日番谷が瞳を閉じたまま小さ

く苦笑する。

市丸と日番谷が居るのは市丸の私邸の屋根の上であり、二人は先ほどから屋敷の中に居る四人の会話を聞くとも

無しに耳に入れていた。

「・・・あのな、市丸・・・」

「うん、何や? 冬獅郎」

「お前は気が済むまで俺の事を試しても良いし、俺の身体も自由にして構わないが一つだけ約束しろ」

「なんやのそれは?」

「お前には酷く刹那的な部分がある。俺はお前のそんなところも魅力だとは思うが、やはり心配が先にたつ」

「・・・・・」

「もし俺がお前より先に死んでも決して自暴自棄になったりしないと約束しろ。必ず最後まで護廷隊の隊長としての

自分の使命を果たせ。いいな、市丸」

「・・・・・っ、それはしんどい約束やな、冬獅郎」

「もし、それが出来ないなら・・・」

ゆっくりと瞳を開け、市丸の膝から起き上がった日番谷がひたと相手に強い翠の視線を当てる。

「―――俺を愛してるなんて云わせねぇぜ?」

にやりと絶品の笑を投げ掛けられた市丸は驚きの余り開眼し、そして心の中で両手を挙げる。

「・・・ほんま、キミにはかなわんわ。―――愛しとるよ。冬獅郎!」

市丸は日番谷を抱き寄せると、その滑らかな頬に誓いのようなくちづけをそっと与えたのだった。





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