「突然済まない。ちょっと教えてもらいたいことがあって来たんだが、入ってもいいか?」
日番谷の遠慮がちな声に恋次は顔を輝かせ、修兵は血の気を引かせた。
修兵と恋次は何度も日番谷と情を交し合っており、たまの夜には三人で楽しむこともあった。
しかし、日番谷の来訪を無邪気に喜ぶ恋次と違い、自分の置かれている状況の間の悪さに修兵は内心でこれ以
上ない程の焦りを覚えた。
「先輩、日番谷隊長を部屋に入れても良いっスよね?」
嬉々として瞳を輝かせる恋次に、修兵は唸るように命じた。
「これを早く解け!」
「え〜〜〜っ、良いじゃないっスか、そのまんまでも」
不服を述べる相手をキツイ視線で睨みつけ、再度言い放つ。
「早くしろ!」
「はい。はい。・・・分かりましたよ」
しぶしぶ恋次が修兵をがんじがらめに拘束している黒絹の縄に手を伸ばしたが、部屋の外から、また日番谷の
問いかけが聞こえてきた。
「・・・邪魔をしてしまったか? 帰った方が良いなら遠慮なくそう云ってくれ」
それに慌てたように恋次が応える。
「邪魔なんてとんでもない! 大歓迎ですよ、冬獅郎。でもちょっとだけ待って下さい」
恋次は一年前の長月に五番隊の隊長へ就任した。その際の褒美として、市丸からプライベートに限り、日番谷
を下の名や愛称で呼んでも良いという許可を貰い、小躍りして喜んだのだった。そして修兵も先頃卍解を会得し
た折に、同じ許可を与えられていたが、今だ隊長職に付いていないという引け目のせいか、日番谷と二人きり
にでもならない限りは以前として苗字の方で呼んでいた。
それはさて置き、恋次は修兵に施した縛めを解こうと思うのだが、これがなかなか解けない。恋次の力を持って
すれば引き千切ることも可能ではあるが、それはあまりにも勿体なかった。
焦れば焦る程、より一層、縄は修兵の肌に食い込んでいくような錯覚を感じ、時間の経過も気になる。
それに追い討ちを掛けるように、さもすまなそうな日番谷の声が聞こえて来た。
「ごめんな。迷惑を掛けてしまったみたいだ。俺は帰るから気にせずに続けてくれ」
そう云いしな、日番谷が襖から遠ざかる気配を感じ、恋次と修兵は心底焦った。
日番谷と関係を持つ時はもっぱら自分達が誘うのが常であり、日番谷の方から訪れてくれることは極めて稀な
事だった。それ故にこの機会をダメにしてしまえば、次からの訪れも無いような気がして、二人はいてもたって
もいられない程の焦失感に駆られたのだった。
「先輩!」
有無を云わせないような強い恋次の視線に、覚悟を決めたように修兵が小さく頷く。
それを確認した途端、修兵の上に軽い掛け布団を掛けた恋次は、裸体のまま身を翻し、部屋の襖をパン!と勢
いよく開いて云った。
「帰らないで下さい、冬獅郎! さぁ、中へ入って!」
部屋から数歩離れた廊下で、半身を捻って自分を見上げる日番谷の細い腕を掴み、恋次は部屋の中へと連れ
込んだ。
「・・・・・いいのか? 邪魔をしてしまっても?」
「あんたが邪魔だったことなんて、今まで一度もありませんし、これからもありえません!」
きっぱりと云い切る恋次の迫力に、日番谷は少し驚いたようだったが、それでも手を引かれるまま修兵が寝転
がっている寝所へとやってきた。
「檜佐木、ホントに良いのか?」
「・・・はい」
自分の顔を覗きこんで聞いてくる日番谷に、バツの悪さに視線を横に流しながらも修兵がはっきりと頷く。
それとほぼ同時に、修兵の側に屈みこんでいる日番谷の小さな背に恋次がゆっくりと覆いかぶさった。
「冬獅郎」
名を呼ばれて振り返った日番谷の頤を救い上げるようにして深くくちづける恋次に、日番谷も目を閉じて素直に
応える。
クリュリ・・・と淫蕩な音をたてて二人の唇が離れると、恋次は素早く日番谷の締めている帯を解き、纏っていた
白い夜着を華奢な肩からサラリと落とした。
下着を身につけていない日番谷は抵抗のないままに全裸となって、その美しい身体を行燈の光の中に晒して、
修兵に視線を戻した。
「檜佐木」
呼び掛けられた修兵は、生まれたままの姿で自分に微笑み掛けてくる日番谷の美麗さに、自分の置かれてい
る状況も忘れて見惚れてしまう。
そんな修兵の頬に両手を添えた日番谷は自ら唇を修兵のそれに当て、最初はついばむように、ややあってか
ら角度を深め、舌を差し入れた。
常にはない積極的な態度の日番谷に、修兵は夢中でそれに応えたのだった。
「冬獅郎、俺達に教えて欲しいことってなんです?」
くちづけを解き、修兵のすぐ側に横臥した日番谷の身体を背後からしっかりと抱きしめながら恋次が問う。
「うん。・・・実は俺、松本と後ろを使って性交したことがないんだが、どうやらあいつはそれを望んでいるらしい」
「「ええっ!」」
あまりにも意外な日番谷の言葉に、修兵と恋次は驚愕した。
「あいつは早ければ明日にもこっちは帰ってくるだろう。でもはっきり云って経験のないまま上手く出来るか自
信がない。・・・で、悪いんだがお前達のどちらかで練習させてくれないか?」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
目の前に付きつけられた日番谷の頼みごとに、修兵と恋次は二人揃って絶句する。
「・・・ダメか?」
二人の長い沈黙に、心配そうに日番谷が身を起こし、小首を傾げる可愛らしい仕草で修兵と恋次を交互に見や
る。
「ダメならそう云ってくれ。無理強いなんてしたくないし、大人しく帰るから」
相変わらず常人とは少し、いやかなり隔たった思考回路ではあるものの、日番谷に恋心を抱き、かつその生真
面目さや、心根の清らかさを熟知しそれに惹かれている二人は、例えそれがどんな突拍子もない事であれ、日
番谷からの頼みごとを袖にするなど出来なかった。
「・・・・・・・先輩」
「―――分かったよ」
ややあってぼそりと口を開いた恋次に、諦めたように修兵は目を閉じ小さく溜息をつく。
「俺で良ければお相手しますよ。冬獅郎」
「本当か? 良いのか? 檜佐木」
「ええ。・・・恋次」
嬉しそうに瞳を煌かす日番谷に修兵は苦笑を返して、恋次に視線を送る。
「ういっス」
修兵の意を受けて、恋次が修兵に被せてあった布団を捲る。
「・・・・・っ。・・・な、なんか、凄い眺めだな!」
黒縄で四肢を拘束され、高く腰を上げて局部を晒している修兵の艶姿に、日番谷が息を呑み、それを見た恋次
がペロリと己の唇を舌で湿らせる。
そんな赤毛の後輩を、修兵は思う様、頭の中で蹴飛ばす。
修兵だとて、本音を云えばこんな状態で日番谷を受け入れたくは無かった。
日番谷に望まれているということ事態は複雑な心境ではあるものの、決して悪い気はしない。が、今は正直ご
遠慮したい。しかしここで自分と恋次が役割を押し付けあえば、日番谷が帰ってしまうだろうことが分かりきって
おり、そんな真似は出来なかった。
折角訪ねて来てくれた日番谷を追い返すようなことだけは、なんとしても避けたかったのだ。
損な役回りだと内心溜息を付いて修兵は日番谷を誘う。
「俺の方は準備できてますからいつでも挿れて良いっすよ。でもこの縄は外した方が良いですよね。・・・恋次」
「はい。はい」
自分達と違い、日番谷にアブナイ趣味は無いことを知っている修兵は喉を鳴らして成り行きを見守っている恋次
に声を掛け、再度縄を外させようとしたが、意外なことに日番谷から待ったを掛けられた。
「・・・俺、そのままが良い」
「「えっ!?」」
耳を疑う二人に構わず、日番谷は大きく左右に開かれた修兵の身体の間に入り込み、筋肉の張った太ももに
小さな手を掛けて微笑んだ。
「どうして今まで気付かなかったんだろう。檜佐木、お前って凄い美形なんだな」
(ええっ!?)
なんでもないことのように云った日番谷は次の瞬間には修兵の股間に顔を埋め、心身共に修兵を悶絶させた。
(――だ、誰か、この人をなんとかしてくれ!)
そんな修兵の心の叫びが理解出来るのは、この場においては勿論恋次独りだが、その彼とて日番谷の天然タ
ラシぶりに度肝を抜かれている。
「あぁ・・・ぅ・・・つ! ・・・・・冬獅郎」
小さな桜色の舌で、丁寧に男根を舐め上げる市丸仕込みの絶妙な口淫に、修兵は思い通りにならない四肢を
硬直させ、ついで小刻みに震え出した。
修兵のモノに舌を這わせ、ついで口一杯に含んでしゃぶり上げている日番谷の、華奢な背に再度覆いかぶさっ
た恋次は日番谷の双球の狭間に自分の勃起したモノを密着させ、大きな掌の中に幼いモノを包み込み長い指
で擦り合わせるようにして可愛がった。
「―――ん・・・もう、い、です・・・・・から・・・っ」
後孔に使用した薬の作用で只ですら感じ易くなっている上に、四肢を拘束されて日番谷に奉仕を受けている自
分の姿に、恋次相手では感じなかったであろう倒錯的な刺激に飲み込まれそうになり、修兵は慌てて日番谷
に行為の先を即したのだった。
「もういいのか?」
修兵の堅く立ち上がったモノから唇を離した日番谷は、確認するように、修兵の後孔に細い指を二本揃えて挿
入する。
「・・・・・・んん」
その瞬間、修兵はギュと目を閉じた。
(と、冬獅郎の指が俺のアソコに)
肉体よりも感情が優先し、そう思うだけでクラクラくる。
「うん。大丈夫みたいだな」
指を修兵のナカでくるりと回転させ、得心がいった日番谷が自分の背後にいる恋次を振り返る。
「阿散井、お前は少し待っててくれ。――挿れるぞ、檜佐木。もしイタかったらそう云ってくれ」
「俺は大丈夫です。でも最初に云って置きますが、この馬鹿が散々馬鹿デカイ物を突っ込んだ後なんで、あん
まり具合は好くないかも、ですよ」
しごく真面目な日番谷に対し、修兵はまな板のコイよろしく、やけっぱちな気分で恋次を見据えてそういったが、
日番谷はキョトンとして「そうなのか?でも俺はお前が気持ちよくなってくれればそれで良いんだ」と云って膝を
進めた。
「―――ぅ。あ、熱いな・・・それに凄く気持ちイイ!」
あっさりと自身を埋め込み、感嘆したようにそう云われ、修兵はボッと頬を赤らめた。
「お前は? 檜佐木」
「はぁ?」
「お前は気持ち良くないのか? ・・・やはり俺みたいな子供の身体じゃ感じねぇか?」
少し残念そうにそう聞かれ、慌てて否定する。
「そんなことないです! お、俺も・・・イイです」
「本当か? 良かった!」
安心したように笑みを浮かべて腰を使い出した日番谷を見、修兵も口角を上げ、滅多に無い機会を存分に堪能
すべく頭を切り替えた。
自分のナカを擦り上げている日番谷のモノの動きに合わせ、内壁を絞り、また緩め、互いの絶頂に向けて肉体
と精神を同時に追い上げる。
「ん!・・・ぁ」
突如、なんの前触れもなく、日番谷が達した。
「――イっちゃいました?」
修兵の問いかけに日番谷がコクンと頷く。
「うん。ごめん。俺、全然持たなかった。・・・でもお前のナカ気持ちよくてまだ抜きたくない。もう少しこのままでも
いいか?」
可愛らしく強請られてイヤと云える人間が果たしているだろうか? と、修兵は苦笑した。自分に甘えてくる日番
谷の可愛らしさに、両腕が自由な身だったら、即、日番谷を抱きしめられたのにと無念を感じる。
そんな二人から取り残された恋次は、日番谷の双球に手を掛け、左右に押し開きながら告げる。
「冬獅郎、俺もさっきからたまんねぇんです。あんたのココに挿れても良いでしょう?」
この状況で、日番谷がダメと云う訳がないと判っている恋次は、日番谷の返事を待たず、先程修兵の直腸に挿
れた薬を慎ましく閉じている日番谷のアナルに押し込んだ。
「あ、阿散井、何を挿れたんだ?」
突然の異物感に日番谷が慌てるが、恋次はにやりと笑って快感に紅潮している日番谷の頬をペロリと舐め上
げる。
「男を迎えやすくする薬です。心配いりません、身体に害は無いですし、すぐに効いてきますよ」
「・・・・・ぁ・・・ん」
恋次の云うのは本当だった。修兵との行為で射精した快感の中を今だ彷徨っている最中なのにも関わらず、す
ぐ次の波が押し寄せてくる様な前兆を本能が感じ取り、日番谷は悩ましい吐息を漏らした。
「もう俺を挿れても大丈夫な筈です。良いですよね? 冬獅郎」
がっちりと自分の腰を鷲掴んだ恋次に、日番谷が生理的な涙で滲んだ碧の瞳を向ける。
「・・・ぅ・・・・・あ、ばら・・・い・・・・・はや・・・く!」
その途端、ドクンとした衝動が股間を付き抜け、恋次は野生の獣のような勢いで日番谷に挑みかかった。
「あ―――! あぁ――!」
一気に恋次の大きなモノを飲み込んだ日番谷が、変声期前の高い嬌声を上げる。
そのまま前後に激しく揺さぶられ、その衝撃は日番谷と繋がっている修兵にも及ぶ。
「こ、こら、恋次! お前、ヤリ過ぎだ! 冬獅郎が壊れる!」
しかし修兵の抗議の声は恋次は元より日番谷の耳すら素通りしているらしく、強すぎる快感に自分の身体にし
がみ付き、悩ましい表情で目を閉じ口を半開きにして喘いでいる日番谷も何かに憑かれたように必死で腰を振
り、自らの快感を追っている。
(効きすぎだって、阿近さん!)
修兵はこの時初めて、自分が日頃便利に利用している技術開発局の副局長を恨めしく思った。と、同時に官能
極まる日番谷の顔を見て、自身も催してくる。
何より、いつもは自分が組み敷いている相手に犯されているという倒錯感で眩暈がするのだ。
「あああぁあ! イっく―ー!!」
修兵が自分の感慨に囚われている間に、日番谷の身体が弓なりになって二度目の射精を果たす。
「冬獅郎、俺の、握って下さい」
自分の上で荒い息をついている相手に請えば、震える細い指が覚束ない手付きで局部に伸ばされ、立ち上が
ったモノを握りこみ、上下に擦り上げる。
「・・・ん。イイですよ。冬獅郎」
満足そうにそう云う修兵を、今だ激しく腰を使っている恋次が上から覗き込み、日番谷に告げる。
「冬獅郎。檜佐木先輩は耳が感じるんです。だから耳を舐めてあげて下さい」
(―――!)
「ん」
恋次の言葉にギクリとなった修兵に気付かず、日番谷は素直に云われた通り、修兵の雄を握る手はそのまま
に、耳に舌を差し込み、耳だぶを甘噛みする。
「わぁ〜〜〜っ! やめ! やめ・・・て! やめてくれ!」
修兵は身を捩って暴れたが、身体は少しも自由にはならない。
「やめ・・・! ダメ・・・だって、――ああぁ!」
とうとう我慢出来ず、自身の腹に白濁した精液を吐き散らす。
それを見届けたように、恋次がラストスパートを掛け、一段と強い突きと共に日番谷な中に注ぎ込んだ。
「ふ・・・ぅ」
全身に汗を滴らせて日番谷から己を抜き取った恋次は、満足した笑みを浮べて修兵の横に寝転がり、支えを
失ったかのように、日番谷もまた修兵の上に倒れこんだ。
その日番谷に恋次が悪戯っぽく声を掛ける。
「どうでした? 檜佐木さんのナカは。スゲェ好かったでしょ?」
修兵の羞恥心を平然と逆撫でる恋次に、日番谷が臆面も無く応える。
「うん。凄く気持ち良かった! 檜佐木、お前は?」
大きな碧の瞳に見詰められ、ゴクリと喉を鳴らした修兵は、それでも小さな声で「俺も好かったです」と応えた。
それを見た日番谷は嬉しそうに身を起こして云った。
「そうか。良かった! お前の御陰で少し自信が付いた。俺はこれで自分の部屋に帰る。世話になったな」
「「・・・・・・・・」」
情事の余韻もなんのその、薬の効力は今だに効いている筈なのにも関わらず、精神力がより上回るのか、床
の上に予め準備されていた濡れた懐紙で簡単に自身の後始末をし、立ち上がって自分の夜着を身に付けた日
番谷は、呆然としている二人を残してさっさと夏竹殿を後にする。
修兵と恋次はそんな日番谷にあっけに取られ、その後姿を見送るばかりだった。
後に残された二人に沈黙が降り、意を決した恋次が口を開く。
「え〜〜〜っと、先輩」
「取りあえず、身体を拭いてくれ、そしてこの縄を解け」
「えっ! 俺まだあんたに挿れてねぇのに」
「恋次、今すぐ解かねぇと今後一切、金輪際ヤラせねぇからな!」
「判りましたよ。んな、怒らなくてもいいっしょ」
恋次は日番谷と同じように懐紙で修兵の身体を清めると、不器用な手付きで戒めを解いた。そこにすかさず修
兵の鋭いケリが恋次を見舞った。が、これは恋次をしても充分に予測出来たことであり、余裕でかわす。
「避けるな!」
「無茶云わないで下さいよ。逃げるでしょ普通。大体あんた自分のケリの威力判ってます?」
「安心しろ。お前意外では虚でしか試そうと思わねぇよ」
「ひでぇ」
恋次は嫌そうに顔を顰めたて見せたが、次の瞬間にはガバリと修兵を自分の腕に抱き込んでいた。
「ねぇ」
「なんだよ」
「日番谷隊長としてホントに感じたんスか。ぶっちゃけあの人のモノじゃあんたのイイトコには届かないでしょ」
至近距離で云われた言葉に修兵はクスリと笑った。
「セックスなんてのは半分以上は頭でするものだからな。あの人に惚れてる俺が感じない訳ないだろ」
「まぁそれは判ります。日番谷隊長って相手に対していつも一生懸命ってゆうか、妙なところで情熱を発揮する
ときがありますしね」
「あぁ。・・・しかし、乱菊さんが後を使いたがってるってのはきっと何かの誤解だと思うがな」
「ですよね」
二人して溜息を付く。
「ねぇ、先輩、ちょっと聞いて見ますけど今日はこれで仕舞いですか?」
「当たり前だろ」
「え〜〜〜っ!」
不服そうに子供の様に頬を膨らます恋次に呆れて、修兵が白い目を向ける。
「俺の代わりに日番谷隊長とヤレたんだから文句は無いだろ? むしろラッキーだっただろ」
しかし恋次は納得いかないらしく眉根を寄せる。
「例え日番谷隊長と云えどあんたの変わりにはなりませんよ! 俺が抱きたかったのはあんたなんですから」
(――!)
思いも寄らない恋次の言葉に修兵の頬にパッと紅が散る。
「おまけに俺にはゴムを付けさせといて、日番谷隊長にはナカ出しOKなんて贔屓です。あんた俺のこと愛して
ないんでしょ!」
「あのなぁ・・・」
お前、それは被害妄想か・・・。と、今度は脱力する。
修兵は心身共に疲れて、いい加減眠りたいのに、この目の前の男はどうあっても自分の我を通すつもりなのが
丸判りで心底辟易する。
「檜佐木先輩!」
「・・・・・判った。判った。・・・本当にあと一回だからな」
疲労の為に、ヤル気満々の恋次をかわすのも億劫になった修兵は、おなざりに応えたが、一方の恋次は嬉し
そうに修兵に抱きついてきた。
「檜佐木先輩。―――修兵!」
「あん?」
「あんた、大好きだ!」
にっこりと笑いかけられて、その太陽のような笑顔にはっとなり暫し見惚れる。
(思えばこいつも妙な情熱を持っているんだよなぁ)
日番谷のことをどうこう云えた立場ではないと思いつき、その可笑しさにクックッと喉と肩を震わせる。
「なんです? どうしたんですか?」
いかにも怪訝そうな恋次に「俺もお前が好きみたいだよ」と笑った修兵は、恋次の逞しい首にその腕を伸ばして
自分に引き寄せ、唇を合わせたのだった。
その翌日の夕刻、現世のクリスマス・イブに帰宅した乱菊と、それを出迎えた日番谷が一騒動を巻き起こすの
はまた別の話だった。
了
TOP 裏TOP 3へ