「農業教育と研修に関するあり方検討会報告書(案)」に対する意見

           作 井 英 人


 この意見は、私が、令和5年3月17日に富山県農林水産部が開催した「第3回農業教育と研修に関するあり方検討会」において、検討会報告書(案)に対して述べたものです。

1 とやま農業未来カレッジについて

  「中長期的な課題として農業大学校を検討する」ということであるが、明確なスケジュールを示してとやま農業未来カレッジを農業大学校に移行するという計画を示してほしい。現在のカレッジでは、例えば、高校生、親御さん、先生方に、あまり進学やその後の農業という進路の対象になっていない。法律に基づいたしっかりした器を作るべきである。県立の農業大学校にすることにより、指導員(教職員)の確保がしっかりできるようになる。本県より農業規模の小さな県でも農業大学校が設置されている。農業大学校がダメなところ出来ない理由をいろいろあげておられるが、どうしたら富山県ならではの農業大学校ができるのかに知恵を絞るべきである。


2 JA(農協)の役割について

  農業関係の新聞にもよく掲載されているが、県内外の新規就農事例を見ていると、JAの果たす役割がとても大きい。稲作はもとより園芸等の新規就農をめざす方々が、関係機関・団体で構成する地域の担い手協議会のお世話になり、技術や経営の指導・支援を受けながら、年月をかけて農業者として1人前に成長してきている。富山県が稲作を基幹としながら園芸への構造転換を図ることが重要であるが、例えば、JAが、国・県の支援を受け、園芸の施設団地を作り、リース方式で、新規就農者が育っていくような仕組みを盛り込んだらどうか。

3 地域計画での位置づけ

  農業経営基盤強化促進法が改正され、令和5年度から市町村が各地域で10年後を見据えて、地域の担い手と農地利用を見込んだ「地域計画」を作成することになっている。この中にはこれまでと違い、担い手のみならず半農半Xの方、規模は小さいかもしれない有機農業の方など、多様な担い手を想定しており、是非、新規就農者等が地域計画に位置づけられるように書いてほしい。 

 以上、意見を述べたが、農業の人材育成を図るためには、多くの費用と年月はかかるが、10年、20年の先を見て、しっかりとした構想を立ててほしい。人材の育成への投資は、将来、富山県農業に帰ってくる。県内外の就農希望者がワクワクして「就農するなら富山県」となるような報告書を期待する。

 
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