2003年11月末、富山駅前CICビル5Fにカフェ、くすりミュージアム、ハーブ体験コーナーなどを複合した癒楽甘 春々堂がオープンしました。店舗面積は約220u、CICワンフロアのほぼ半分を占めます。間接照明や暖色の色使いが落ち着いた雰囲気の空間を演出しており、統一された店員の白いユニフォームが清潔感を引き立てます。
同じフロアには観光案内所が設置されているので、観光客の立ち寄る姿もみられますが、中高年層のグループや母と娘の親子連れなど女性が目立ちます。メニューにも女性の関心が高い美肌、元気、ダイエットなどのテーマがあげられており、効用別に分類された甘味や中国茶など約30種類の品物が並んでいます。カメゼリーやショウガスープ、アボガドのジュースなど、普通のカフェではあまりお目にかかれないため、どれも一度は試しに食べてみたい気持ちになります。
メニューに悩まされることで、これまで美容や健康を謳った食品を食べる機会があっても、その具体的な効用まではあまり考えていなかったことに気づかされます。自分の体質や健康状態を理解し、日々の食事でそれを補うという医食同源を実践することはなかなか難しいことですが、テーブルを囲む家族の数が減った現代になって、主婦はこれまで以上にひとりひとりの健康を考えるようになり、毎日の食事をサプリメント的に考えるようになってきていると感じます。手間の要らないレシピやなじみのない素材についての知識など家庭への情報提供があれば、薬膳がより身近なものになるのではないでしょうか。
また、「健康」をサービスに掲げるのであれば、コンサルタントサービスは欠かせないと感じました。中国茶やアジアンスイーツのブームに乗じて、手軽な薬膳デザートをメニューにおくファミリーレストランやカフェが増えています。ほんのりとした苦味やスパイスの効いたスイーツはあたらしい味覚で、私たちにはとても刺激的なのですが、これではものめずらしさだけで、やがては飽きられてしまうかもしれません。薬膳の魅力はひとりひとりの健康状態に細やかなアプローチをしていけることです。一対一でじっくり体質や症状をカウンセリングする方法もありますが、それ以上に手軽さを求める人には簡単な体質チェックや診断なども喜ばれるのではないかと思います。
薬膳カフェを中心にハーブの香りが嗅覚を刺激する体験コーナーや、富山県の魅力を伝えるくすり産業と伝統について学習できる展示コーナーもあります。このようなミュージアム的要素は県外の旅行者を楽しませるものになっていますが、「健康」をサービスとして提供していくことで、県内外からの人々が何度行っても楽しめるテーマパークとしてさらに発展していくことを願います。
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