毎日、朝晩の通勤に富山地方鉄道の電車を利用していますが、公共交通機関の活性化も、富山の活性化にとって重要な課題と考えています。下記の提案は、筆者が1999年の北日本新聞のエッセイコンテストに応募し、掲載してただいたものに少し加筆しました。

 富山地方鉄道を通勤のため、朝晩、利用させていただいていますが、最近、特に思うようになったのは、せっかく年間多くの観光客や沿線住民が利用する立山・黒部アルペンルートの電車なのに、残念ながら旅を味わう乗り物でなく、単なる乗客の運搬する箱になっていることです。
 今から50年以上前のことですが、イギリスの牧師であったウィルバート・オードリは、病気になった自分の息子を喜ばせるため機関車トーマスの絵本を執筆し、その後、その息子さんが引き継ぎ、現在、全世界の子供達やその親達の心をとらえています。このように、機関車や電車などの乗り物は、子供達に夢を与え、人間の心を離さないものなのである。我が家の子供達も小さい頃、近くの踏み切りで電車が通る度に、電車の色から、 「かぼちゃ電車が来た。」とか「りんご電車が来た。」とか呼んで楽しんでいました。
 地鉄電車の車両は何台あるのか知りませんが、活性化策として例えばこういうのはどうでしょうか。乗客の皆さん・全国の鉄道ファンから車両の名前や顔の絵を募集し、審査により、1輌、1輌に名前をつけ、電車の正面に擬人化したプレートを掛けます。例えば、「黒部君」とか「薬師さん」とか立山・黒部アルペンルートにふさわしい名前をつけます。「閻魔さま」なんていうのでもおもしろいかも知れません。 ローカル鉄道を考える時には、採算が合う合わないか議論をしていくと、便数を減らす、ワンマン化する、無人駅を増やす、その結果、不便なため利用客は減少する、どうにもならなくなれば、廃止して、バスに代替する、という方向になってしまうのではないでしょうか。ローカル鉄道を存続させていくためには、県内外のお客さんに愛着を持ってもらえるような特色を出すということではないでしょうか。そのためには、電車というアイテムを最大限に活かして、その各駅等にもちょっとした仕掛けをするだけで、地方鉄道全体が一つの観光スポットとして全国に知られ、観光客の旅の楽しみや子供達の愛着がふくらみ、将来、乗客が増えることは間違いないと思います。

 地鉄電車に毎日、お世話になり大変感謝していますが、地域の皆で知恵を出して、活性化に取組んでいくことを始めてはどうでしょうか。

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富山地方鉄道の活性化について

 作井 英人