2005年(平成17年)7月   北日本新聞 談論自由席
新不動産登記法に理解を

 新不動産登記法が三月に施行され、土地の境界を確認する際に、土地家屋調査士が資格代理人として本人確認することが認められた。土地家屋調査士が、隣接者に筆界確認書への署名をしてもらい、法務局に申請する。

 また、土地を分けて、分筆登記をする場合、これまでは該当範囲を測量して面積を計算すればよかったが、新法は残地についても測量し、面積に相違があれば地積更正登記の同時提出が求められることになった。

 なかなか理解を得られないこともあり、関係者を何回も訪問するなど苦労も多い。土地家屋調査士の資格に対する責任が重くなった一方で、作業内容が増えた。今更ながら、法改正についてPRする必要性を感じる。

 法には 「登記所に地図を備え付けるものとする」 とあるが、地図は明治の地租改正で作られた地図をもとにした不正確なものが少なくない。

 新法では、この地図を訂正する場合は測量図を付け、土地の面積が違った場合は更正登記を行う。法施行後に作成された測量図が増えれば、やがては、正確な登記や地図に反映されることになるのではないかと思う。

 地図作りといえば、国土交通省では自治体に地積調査事業の推進を呼びかけており、県内でも積極的に実施しているところもあるが、多くの市町村は消極的となっている。今回の改正や今後の司法改革が後押しとなり行政による地図作りの英断を願いたい。

 

 今後は官民が協力し、土地の正確化を図ることで境界紛争の未然防止や土地取引の円滑化に努め、円滑な近隣関係を築き、次代に引継いでいきたい。