このページは、これまでに疑問に思ったことなどを、いろんな資料をもとに現段階での考えをまとめたものです。私の認識に間違いがありましたら、どうぞご指摘ください。
観光と税を考える
町長と語る会のある会場では、ある町民の方が、「観光を振興することによって、(地方交付税の)減額分をカバーできるのではないか? 100万人の観光客は素通りだ。そのうち、何割かが宿泊すれば、お金がおちて豊かになるのではないか」 というような趣旨の発言があった。これは、多くの町民が抱いている考えだろう。
また、別の会場では、「アルペンルートに100万人が来るのだから、一人に200円の税金を掛ければ、2億円の収入になる。」という発言もあった。これも、よそで耳にしたことがある。
それでは、この2点の政策が立山町財政を豊かにすることが可能なのか、HPで昨年も似たようなことを書いたが、改めて検証してみたい。
@観光と税収
仮に立山町に旅館街があって、1年間に10万人が宿泊し、宴会もした。ひとりあたり、2万円を使ったとすると、20億円の売り上げがあったとする。
単純に税収面のみに着目してみると、まず、
入湯税が150円であるから、合計1500万円となる。
参考:平成13年度決算 グリーンパーク吉峰とグリーンビュー立山(千寿が原)での入湯税が2019万円。(これまでは、露天風呂などの施設整備に使われてきている。)
消費税 平成6年の税制改正によって、9年から3%からの5%に引き上げられた。このうち、1%分を地方消費税(道府県税)として県に配分されることになっている。そこから、徴収手数料が差し引かれ、指定統計による小売年間販売額とそれ以外の消費に相当する額との合計額を按分して配布される。そのうち2分の1が市町村に配分されることになっている。しかし、その配分方法は、国勢調査人口及び事業所統計の従業者数で2分の1ずづ按分されてくる。つまり、ある町のみに観光客から20億というお金が落とされ、消費税が1億円。うち、地方分が2千万円。それから県に1千万 町に1千万円、というわけにはいかないことになる。町の規模によって配分額が異なるからだ。
参考:平成13年度決算 立山町の地方消費税交付金(消費税5%のうちの県の分1%のうちから配分される額)は、2億2257万円。年間に40万人宿泊する(入湯税から推測できる)宇奈月町には、6680万円。宇奈月町の人口は、6500人。
もちろん、旅館に支払われる宿泊・宴会代だけで、お金が動く(消費税が発生する)ものではない。近くのお土産店、酒や食材の仕入れ、など、経済の波及効果は大きい。しかし、ひとつ酒の仕入れに注目して
みても、旅館は、町内の酒屋から、酒やビールを購入するだろうか? 町外にある卸から直接購入するのではないか? さしみを近所の魚屋から購入するだろうか? 市場や卸から直接、買い付けるのではないだろうか? 観光産業は、経済の波及効果は大きいものの、それは、小さな町に限るものではなく、広域的、県レベルで考えると、有望産業なのだ。
参考
法人税 宇奈月町の平成12年度決算によれば、法人税均等割・所得割 あわせて 1億3000万。ちなみに立山町は2億2千万円。
固定資産税 宇奈月の財政を支えているのは、ダムや発電所だ。償却資産だけで、12億8千万円。土地・家屋合わせると、20億余りとなっている。
A入山税
平成12年の地方分権一括法により、法定外目的税制度が創設された。これまでの法定外普通税と併せ、大臣の許可でなく、事前協議の上、同意を要するものとなった。法定外目的税は、その名の示すとおり、環境保全など一定の政策目的のために、課税されるものだ。三重県の産業廃棄物埋立税などがそうだ。
なお、法定外普通税で変わっているのものとして、熱海市の別荘等所有税がある。別荘等所有者は、住民ではないので、住民税のうち、所得割分を払わなくていい。しかし、水道・道路など行政サービスは他の市民と同様のサービスを受けているから、法律では規定されていない税目をかけるというものだ。つまり、もっとも大事なことは、住民の租税負担の公平性を確保しなければならないということだ。
さて、入山税にはいる。新たに税を求めるということは、税収の使途は、税負担者となる利用者の理解が得られるよう、その利用者が原因者または受益者となっていることが明確な事業に限られるべきである。
ここで、立山黒部アルペンルート通過者100万人から、「立山を守るための入山税」を200円徴収したいとする。アルペンルートに限定したのは、一般の登山者では、その実態を把握することも、徴収することも事実上、不可能だからだ。しかし、ここで、大きな課題に直面する。いくつか挙げるとすれば、
@桂台から室堂まではすでに、県の有料道路となっていること。宮路から桂台の入り口までは、県道であるし、道路の無料公開・自由通行の原則に反しないか? 道路上の徴税施設に対する占用許可は可能か?
A徴税コストの問題。人件費・施設費・印刷費ほか。2億円徴収するのに、3千万円ぐらいはかかるのではないか?
B道路上で課税せず、立山開発鉄道もしくは、立山黒部貫光に委託したとしても、当然、運賃に跳ね返る。いまでさえ、高いといわれている通行料。余計に観光客を遠ざけてしまわないか?
C富山県や国はこれまで、立山の自然を守るため、さまざまな公共投資を行ってきた。遊歩道(もく道)・合併浄化槽ほか。県は称名道路地区分として、立山町に1千万円余りの補助金も毎年出している。国からは、雷鳥保護として、4百万円の補助金がきている。県からも同額がきている。つまり、町が環境対策として、入山税を単独で課税した場合、その増収分だけ県や国の補助金が減らされるのではないか?
D公平の原則の問題。登山者と観光客の問題。@と同じになるが、排気ガスを撒き散らす観光バス。車のための道路からは、すでに有料道路ということで、お金を徴収している。それに加えて、料金をとる必然性があるかどうか。その他の自然保護というのなら、バスを使わない一般の登山者からも徴収しなければならなくなる。
以上、思いつくまま書いたが、ご意見をお待ちしております。