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  エッセイ

毎月、発行される立山町広報に掲載したエッセイのノーカット版です。 紙面の関係上、印刷されたものよりも、字数が多い場合があります。平成19年度からスタートしました。

富山県下消防団消防操法大会激励 布橋灌頂 大汝山に登る


平成19年5月 劒岳百年
  先月、映画監督の木村大作さんと東映のプロデューサーらが町長室においでになった。新田次郎の小説「劒岳(点の記)」を映画化するため、これから立山一帯でロケにはいるという。
この小説では、陸軍参謀本部陸地測量部の測量官らが前人未踏の劒岳に初登頂(実は千年以上前に登った痕跡{銅錫杖と剣の先 (国指定文化財)があった)し、4等三角点を設定するまでの苦闘が描かれている。
その初登頂が明治40年(1907年)7月、ちょうど今年で百年になる。そこで、劒岳を心の拠り所とされている上市町さんも記念イベントも計画されているようだ。
ところでこの劒岳、平地から見える部分は上市町だが、裏(東)側は立山町。稜線を町境にしているため、半分は立山町ということになる。しかも、登山者の大半は室堂からとなると、映画のロケ地はほとんど立山町。「町としてもできるだけご協力したい」と申し上げた。
今年は、ぜひ、「劒岳」に登ってみたい。

平成19年4月 一人暮らしと仕送り
  大学時代は東京で一人暮らしだった。当然、アルバイトもしたが、毎月8万円が口座に振り込まれる日が待ち遠しかったのを覚えている。
なぜ仕送りが8万円になったのか?
一人暮らしには、アパート代などで月13万円はかかるだろう。しかし、アルバイトで5万円は稼げるはずだ。不足分8万円を補えば、子供は暮らせると親が計算したのだ。
ところが、子供はおもしろくない。せっかくアルバイトをしても、その分だけ仕送りが減らされるのなら、働くのは損だということになる。そこで、アルバイト代の25%分については、生活費に繰り入れず、自分の好きなように使っていいとした。
少々乱暴な例えになるが、この8万円が町歳入では、地方交付税交付金になる。3月議会では税源委譲が話題になったが、これはアルバイト(自助努力)とみなされないので、増収分はそのまま交付税が減らされる。
自治体財政の仕組みはややこしいが、皆さんにわかっていただけるようこれからも工夫したい。

平成19年3月 卒業する君たちへ
  成人式のしおりに紹介しました。
「自分などいてもいなくてもこの社会にとってどうということはないと考える人間になることが一番おそろしい。無責任な行為はそこから生まれ、自分の生命すら投げやりになります。自分でやらなければ社会がうまくいかない、社会の大きな損失になるのだとの自覚自信を持たなければいけない。」『いっしょうけんめい生きましょう(講談社)』
永井次世(82歳で書き始め88歳で亡くなるまでの日記です。
幼いときに夢描いた世の中が、現在の自分から見て、例え、つまらないものであったとしても、諦めてはいけません。確かにテレビのスイッチを入れれば、気が滅入るニュースばかりが飛び込んできます。それでも、社会はこういうものだと決め付けてもいけません。世の中、何が起きるかわかりません。自分の人生は、「こんなものだ」と決め付けてはいけません。断じて、くじけてはいけない。そうした者にだけ、人生の栄冠があると思います。
卒業おめでとう。私は、皆さんに社会を動かす原動力となってくれることを心から願っております。

平成19年2月 迂直の計
  今年のN大河ドラマは、武田信玄の軍師山本勘助を描いた「風林火山」。これは武田軍の旗印で、信玄が孫子の一節から取ったことは、広く知られています。「疾きことの如く 其の徐なることの如く 侵掠することのごとく 動かざることの如く」
実は、その続きがあります。「知り難きこと陰の如く(中略) 迂直の計を先知する者は勝つ。これ軍争の法なり」結論として、迂直の計のしくみを理解するものは成功し、この理解こそ成功する為の条件であると言っています。
この前節では(を以ってと為し、を以ってと為す)、回り道であっても有効となる方法をとるべき、また不利を利点に変えようとする発想が大切であると訳せます。現代語で言えば「ピンチのときこそチャンス」でしょうか。
 少子高齢化、都市との格差拡大など、地方自治体を取り巻く環境の変化は皆さんの予想を超えるものかもしれませんが、山本勘助のように知恵と勇気でこの難局を乗り越えたいと思っております。

平成19年1月 冬来たりなば
  「冬来たりなば、春遠からじ」(if winter comes, can spring be far behind?)英国詩人シェリーの詩の結びの句です。
 町長に就任して二年目を迎えようとしておりますが、「厳しい財政状況を御旗にして、焦りさえ感じられる」などと、ご指摘をいただいております。
 私は一年前の選挙公報に、
『いま、やるべきことを。(略)無料にしますとは、なかなか言えません。私は、いま40歳、二人の娘はまだ小学生です。ということは、10年経っても50歳。子どもはこの町で中学・高校へと進んでいくでしょう。つまり、自分の政策が(略)、自分たちや、子どもたちの世代に降りかかってくる。だからこそ、命がけの政治が、今、必要なのです。まずは、不安を《安心》にかえる根拠を積み重ねること。(略)』と書きました。
「今日なしうることを明日に延ばすな」(フランクリン) 米国独立宣言起草委員の一人です。富山の雪はこれからが本番ですが、春は必ずやってきます。

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