THE WILDHEARTS MUST BE DESTROYED  THE WiLDHEARTS 
2003/9リリース Gut Records(UK盤)
2003/10リリース Gut Records/Universal(日本盤)

01. NEXUS ICON
02. ONLY LOVE
03. SOMEONE THAT WON'T LET ME GO
04. VANILLA RADIO
05. ONE LOVE,ONE LIFE,ONE GIRL
06. GET YOUR GROOVE ON
07. SO INTO YOU 
08. THERE'S ONLY ONE HELL
09. IT'S ALL UP TO ME
10. OUT FROM THE INSIDE
11. TOP OF THE WORLD
12. BANG!#
13. MOVE ON#

Produced by Ginger and Russ Russell

#は日本盤のみのボーナストラック。

  official site

 僕が90年代〜現在まで最も入れ込んだバンド、WILDHEARTSの待望の新譜がリリースされて、2ヶ月近く経つ。日本盤よりも一足先に出た輸入盤を買ってたので、本来ならば真っ先にレビューを書きたかったところだが。何故こんなに月日を立てるまで書かなかったというと、たくさん聞き込んで冷静になってから判断したかったからだ。

 好きか嫌いかということになると、僕の日記を読んでくれている人はご存じのとおり、目下ヘヴィローテーション中。このまま行けば間違いなく、今年一番聴いたアルバムになることは間違いなし。聴く日は1日に2〜3回は聴く。アルバムのトータル時間は約33分ということもあって、非常に聴きやすい。「ポップすぎる。」「もう昔の彼ら(EARTH vs.〜P.H.U.Q.)のではない。」「昔ほど曲が良くない。」など色々な意見が出てきたのは予想通り。確かにもう昔の彼らではない。バンドの形態、一度解散しおのおのソングライターとして腕を上げたこともあって、作曲に関わる体制も変わってしまったし。今作に関して言えば、先にリリースされたシングルCF時はクレジットがしっかり書かれていないこともあり、「ここはCJだな。」「ダニーの書きそうなR&Rだな。」と予測したり、ジンジャーのインタビューによって明らかになったところが多かったが、クレジットを見る限りいつもどおりジンジャーの書く曲が9割。CJとの共作であるシングルFに、CJが単独で書いたIといったところ。

 RAINBOW解散後のDEEP PURPLEがポップになったように、SILVER GINGER 5やSINGLE CLUBをRAINBOWに、WILDHEARTSをDEEP PURPLEに置き換えれば、ポップを通過した上でのWILDHEARTSとなるので、こういう音になるのは非常に納得できる。

 アルバム全体の雰囲気はと言うと、良くも悪くもWH流のポップン・ロールと言えるアルバムなのではなかろうか。ただそのへんのバンドとの違い、さすがだなと思わせられるのは、@CJと言った曲でのリズムでのアクセントの付け方である。普通のリズムを口ずさんでいると途中でごっちゃになってしまう。
 「JUNKENSTEIN」の親戚と言ってもおかしくない@、このアルバムのためにジンジャーが取っていたというA、アルバムの中でも1、2を争うSG5ぽい佳曲B、今までになかったタイプだが、少し儚さを感じるD、今、英国で最もホットなバンド、DARKNESSのジャスティン・ホーキンス、THERAPY?のアンディ・ケアンズが参加したハードコアパンクE。この曲なんか、スピード命の曲なのにサビがちゃんとポップにしあがっていて、初めて聴いたとき笑ってしまった。名曲「SKY BABIES」のメロディに出てきてもおかしくないG、次のシングルに決定し、正にハーモニー満載のJ。
やっぱり、お気に入りアルバムだよ。

 確かに同じアルバムを作ったことがないバンドだから、次作で『ENDLESS,NAMELESS』以上のはちゃめちゃなっことをやってくれるような気がする。これからもジンジャーに振り回されながら、一喜一憂しながらこのバンドを追っかけていくんだろうなあ。厄介なバンドを好きになったものだ(笑)とりあえず、これだけのアルバムを作ったのだから12月の来日公演が楽しみ。あと次のシングルのB面も。

 まず、このアルバムを聴いて下さい。全アルバムの中で一番ポップで癖のないものに仕上がってます。WILDHEARTSを聴いたこと無い人は、後でこんな凄いバンドだったのかあと後悔しないように。


<お薦め度>★★★★☆
2003/10/19