ELECTROCKS / Scudelia Electro 
2003/5 リリース

01. Ride on Time
02. ELECROCKS
03. 一万マイルの彼方へ
04. 君の後ろにも?
05. Baby Baker Bittersweet
06. Yes,I will...
07. Softy,you go
08. 陽光風車
09. ネオングロウ
10. ラヴ・ドロイド
11. ハロー・センチメンタル・パンクス

All songs produced by Scudelia Electro

http://wmg.jp/scudelia/

  日本のポップマエストロ、石田小吉率いるスクーデリア・エレクトロの6枚目のフルアルバム『エレクトロックス』がリリースされた。(おそらく、エレクトロ+ロック)の造語でしょう。)
スクーデリア・エレクトロは石田小吉(主にヴォーカル、ギター、プログラミング)吉澤瑛師(キーボード、プログラミング)、寺田康彦(エンジニア)のプロデュースチーム。石田が前に参加してたスパイラル・ライフにツアーメンバーとして参加してた吉澤と、スパイラル・ライフの全アルバムにエンジニアとして参加してた寺田に声を掛け、スパイラル・ライフが人気絶頂時に(無期)活動休止した1996年に結成。
前作のミニアルバム『ロックンロール・ミッシング』('01)から僅か半年。
『5er!』('00)がBEATLESでいうところのWHITE ALBUMのようなバラエティに飛んだものであったが、基本的に1st『スクーデリア・エレクトロ』('97)の頃のような'80s的なエレクトロ・ポップ全開になっている。

 1.Ride On Time
  石田・作詞作曲お得意のカーソング。かっくいい、BMWに乗ってハイになり時
  間も飛越えていこうってような歌詞。'80s的なキボードに、ギター・リフ&ソロを
  大々的にフューチャー。あえて、UKロック的な唄い方なので下手くそに聞こえ
  るかも。
  “Freeway...”という綺麗なハーモニー付きのメロがどことなくAEROSMITHの
  「SWEET EMOTION」に似ている。

 2.ELECTROCKS
  石田・作詞作曲によるエレクトロ・レゲエというべき、んちゃ・んちゃというリズム
  で始まり途中で一気にハードロック化していく新機軸ともいうべき佳曲。

 3.一万マイルの彼方へ
  スパイラル・ライフ時代の「100マイル」スクーデリアになってからの「霧の200
  マイル」そして、3部作ともいうべき今作と。マイルという曲は名曲が多いなあっ
  と。「太陽道路」の親戚みたいようなディスコソングとなっている。ストリングス
  シンセがいい案配でなってます。ベースにスピッツの田村、ドラムスに四人囃
  子の岡井、ギターソロでズーが参加。

 4.君の後ろにも?
  吉澤・作詞作曲そして自身のヴォーカルによるおとぎ話系の歌詞。エレピアノ
  の弾き語りにリズムボックスが絡むという曲かな。よしやんのヴォーカルって
  ヴォコーダーがかかったような声なので、好き嫌いが分かれるだろう。

 5.Baby Baker Bittersweet
  石田作詞 寺田、石田作曲によるQUIREBOYSあたりがやってもおかしくないよ
  うな(たとえが古い?)R&Rラブソング。

 6.Yes,I will...
  スクーデリア、マイクロスターのPちゃん、堀宣良とここ2〜3年のツアーメンバー
  によるジャムセッション風のインスト。次曲の前奏と言うべきものか。

 7.Softy,you go
  ブライアン・ジャクソン作詞 吉澤作曲そして自身のヴォーカルによる失恋ラブソ
  ング。これも4曲目のようによしやんの弾き語り。こちらはかなり大仰ではある。

 8.陽光風車
  石田・作詞作曲によるこれぞ王道ポップソング。「サマーレイン」系かな。この曲
  や3曲目の「一万マイルの彼方へ」がCMソングになれば、絶対売れると思うの
  だが。

 9.ネオングロウ
  石田作詞 吉澤作曲による片思いソングかな。今回のアルバムのハイライトは間
  違いなくこれです!!! この曲も派手で美しいオーケストラ・ストリングスシンセが所
  々で鳴り、石田の甘いヴォーカルが絡むもの。よってロマンティストと言われるの
  だろう。ベースで湯川トーベンが参加!

10.ラヴ・ドロイド
  石田作詞 寺田、吉澤作曲による軽快な曲。久々にトンチに効いた言葉遊びの歌
  詞も痛快だ。寺田さんって作曲始めてこれで3曲目のはず、師匠やよしやんのサポ
  ートも当然プラスになってるが、リズム重視の良い曲書くよね〜

11.ハロー・センチメンタル・パンクス
  石田・作詞作曲。まずタイトルが良い。自分に正直で明日を生きていこうって言う曲
  みたい。LAメタル的なリフに、クリーンなギターソロ。

とあまり速い曲がないですが、やっぱりスクーデリアはスクーデリアでありました。
よしやん、寺田さんの参加曲が増えてきたのもバンドっぽくなってきたな〜。

今回はマジで最高傑作ですね。お知り合いの方のHPや雑誌などのメディアでもみかけているとおり、絶賛の雨あられです。
先日発売された、ロッキングオン・ジャパンの鹿野編集長による、石田小吉師匠のインタビューも本当に良かった。
師匠が、くるりのアルバム(おそらく、ザ・ワールド・イズ・マイン)を聴いて力の配分のアンバランスが気持ちよかったっていうのも納得だしね。そういや、スクーデリアと近年のくるりのアルバム(チームロック以降)って実験的で凄い共通点がるなあ。
とにかく実験しようが、手堅く仕上げようがポップに仕上げるということ。その姿勢が似てるのかもしれん。

近年、80'Sがリバイバルぽくブームになってるけど、スクーデリアって、こういう音楽をダサイとされた90年代半ばの96年からもう7年近くやってるし。
絶対、確信的にこういう音に仕上げたはずではない。自然とやって出た音だよ。
その年代の音というか、無理して流行追っかけるのも二番煎じになるのがオチだし、何でもありの音楽ってだから面白いのであ〜る。前作『5er!』が今作をやろうとする段階の途中だったともいえる。昨年出たミニアルバム『ロックンロール・ミッシング』で予感はしてたが、経験を積み今作で、スクーデリアっていうジャンルが確立されたといっても過言ではない。

今年度ベストアルバム候補の今作。ジャンルを越えてもメロディにこだわる方は、是非一度騙されたと思って聴いてください!
一生後悔するぜ。スパイラル時代からの師匠のキャリアでも10年に1枚の傑作である。
熱狂的ファンの僕が言うので、説得力がないかもしれないが(笑)

<お薦め度>★★★★★
2003/9/5