昨年、ソロ活動開始から10周年を記念し制作された快作フルアルバム『LION』('04)をリリース。そして10周年ツアーも慣行。集大成は広島市民球場で行われた、ひとり股旅(弾き語り公演)。近年稀にみるアグレッシブな活動を行う我らがOT(奥田民生)であったが、前作から僅か半年で新作をリリース。前作のインタビューでも新曲はまだあるので、レコーディングしてリリースするっ て話だったが予想よりも早い行動が嬉しい誤算となった。
肝心の楽曲の出来だが、今作はあまりメロ志向とは言えないものである。ギターを弾きまくってるので、格好良いことにかわりはないのだが、何か物足りないのだ。唯一、Dではパフィーなどに提供した楽曲にあるポップなメロを時折覗かせることはあるが、彼の実力からすると、いまひとつであるし。以前リリースされたミニアルバム『FAILBOX』('97))もリリース当時は、怪作扱い(個人的には彼のアルバムの中ではベスト3に入る。)されていたが、あちらにはまだ彼らしさがあったけども。
ポップサイドの『LION』('04)には入りきらなかった楽曲として、捉えるしかないのかな。今作では参加したレコーディングメンバーはいつもと若干違っており、ドラムスに港雅文、ベースに元サディスティック・ミカ・バンドの小原礼、キーボードは常連の斉藤ゆうただが。今後はこのアルバムをフォローするツアーに入りつつ、スパークス・ゴー・ゴーとザ・バンド・ハズ・ノー・ネームを15年ぶりに復活させて、2ndアルバムの制作&夏のフェスティバルに出演するようだ。これからもますます、ロック親父となったOTから目を離せそうにない。
<お薦め度>★★★
2004/4/30 |