コラム
第二十三回 「あまりに遅すぎたアルペン競技からの独立」
近年のスキーマテリアルの発達はアルペン競技−特にワールドカップ、オリンピック、世界選手権−の影響下にあるものと言っても過言ではないでしょう。と言うより、全てがアルペン競技の支配下にあると言ったほうがよいのかもしれません。特にレースでゴールした選手が、近づいてくるカメラマンに向かって自分が履いている板を見せているシーン。それを見るとやはり、ワールドカップ等の世界大会は選手達や国々の戦いと言うより、スキーブランドの威信をかけた戦いと言ったほうがいいでしょう。優勝した選手が履いているマテリアルは誰でもほしくなるもの。そこでまず、スキーのトップブランドとして名を馳せたのはロシニョール。数年前のバブル全盛期のスキーリフト乗り場にはこの板を履いてる人が沢山いたのをみなさんも記憶していることでしょう。今でこそ、フォルクル、サロモン、アトミック等、いろんなブランドがワールドカップでも名を連ねるようになってきており、スキー場にもいろんなブランドの板が軽快に雪煙をあげている状況ですが。
これらのブランドはアルペン競技で勝つためにプログラムされた板をワールドカップ等の世界大会に送り出すことで市場での地位を築いてきました。しかし、アルペン競技ではなく全く別のカテゴリー、例えばFREERIDE、モーグル、基礎スキー等から地位を得、長い間市場を賑わせているブランドは数えるほどしかありません。例え、その時代に名声を得たとしても、それを駆る選手が引退すればそれまでだというブランドがいくつもあったからです。それはワールドカップ等で手に入れた名声が途方もなく大きく、新しく出てきたブランドは多少の人気だけでは太刀打ちできないということを意味します。例えば、最近の技術選での上位陣のマテリアルがやはりアルペン競技出身のトップブランドという現状は、最近の技術選の傾向がカービングターンだということを考慮したとしても否定しがたい事実です。
しかし、最近のカービングスキーの登場以来スキー界では、IT革命に勝るとも劣らない革命の風が吹いています。特にFREERIDE系。今日、ワールドカップのような手の届かない存在より自分達で楽しさを創造していくカテゴリーに市場は期待をしています。もちろん、上記のアルペン競技出身のトップブランドもこぞってこの分野の開拓に乗り出しました。しかし、この新しい分野の開拓には新しいブランドが名を残していってほしいものです。そのことから考えるとスノーボードの分野では新しいブランドが名声を手に入れることが出来、かなり先を行っていると言えます。FREERIDEでもスノーボード同様、新しいブランドの参入が期待されます。ただし、参入時期を考えると、そのタイミングは今しかありません。今、アルペンスキーに飽きた市場がFREERIDEに方向を変えようとしている時期であり、この時期を逃すと他のブランドがこの分野での地位を確立してしまうからです。今こそアルペン競技以外のベクトルにニューブランドの誕生、そしてアルペン競技出身のトップブランドからの独立を期待したいと思います。
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NAOKI