三味線と音譜について

BGMBGM

 最近、津軽三味線奏者の吉田兄弟等による演奏や、義務教育への和楽器取り入れりにより、日本の伝統音楽(民謡等)が見直しされてきた様に思いますが、私たちは古来の伝統文化を次の世代に後継する意味においても、大切にしていかなければならないと思うようになりました。私自身、富山県八尾の越中おわらを見聞できる環境にあり、また三味線に最も興味を感じたのは高橋竹山の津軽三味線を聞いた時であり、その後独学で練習してきました。幸いにも正調利田荷方節保存会に母の紹介で入会したこともあり、横目で隣の人の三味線演奏を見ることができ、勉強の手助けになりました。
 民謡や三味線に関心がございましたら、みなさん、是非ご覧下さい。 

三味線
 三味線は、足利時代の末に琉球(今の沖縄)から渡来した三味線を改良したものですが、その後地唄や長唄・浄瑠璃などができ、それぞれの特色に合うように工夫されたものです。ただし、形と寸法には代わりはなく、棹や絃の太さ・駒の高さ・撥の大きさに流儀によっての相違があります。


三味線の名称と説明

「棹」   紅木で作られたものが最上で、次いで紫檀とされているが、稽古用として樫・花梨(かりん)がある。

「胴」  花梨が最上で、次いで桑・欅等です。
「皮」   猫の皮を最良として、次いで犬の皮が用いられています。

「撥」  象牙が最上で、水牛のものもありますが、木製としては黄楊(つげ)が一番良く、次いで桜・樫となります。近年は、安価な合成樹脂のものあります。
「駒」   象牙が最上で、水牛・木・竹・合成樹脂製のものもあります。
「糸」   精良な蚕糸を捻り上げて作ったものや、最近では練習用のテトロンのものもあります。一の糸が最も太く、次いで二の糸、三の糸となります。糸の太さは、流儀によって違いますが、浄瑠璃物の中でも義太夫が一番太く、長唄、端唄は比較的細い糸が用いられています。
「糸巻」 黒檀(こくたん)が良いが、見た目が良いので象牙が用いられることもあります。

音  譜

 世界で共通した楽譜と言えば五線譜になりますが、この他にも色々な楽譜が日本をはじめ世界各国にあります。完成度から言えば五線譜が一番良いと思われますが、三味線などに応用するとなると大変複雑になり使いにくくなります。そこで三味線には「文化譜」という楽譜が使われています。
 元来、楽譜には音そのものを書き表す方法と、楽器の使い方を主としての感所(かんどころ:坪)を表した方法がありますが、前者にあたるのは五線譜であり、後者にあたるのは文化譜(感所音符)ということになります。
 次に、三味線文化譜の特徴を説明します。



 前記に、「ソーラン節」の文化譜を示しましたが、まず調子について説明します。
 洋楽の絃楽器は、各絃の音の高さは一定しておりますが、三味線の場合は音の高さも一定していなければ、各絃の音と音との間隔(音程)もまちまちになっています。よって、本調子・二上り・三下り・六下り・一下り等種々の調子のあわせ方があります。これを調絃法といいます。
 調子を合わせるには基本となる一の糸の高さを決めますが、その音の高さを洋楽と比較すると次のようになります。

英・米 B♭ C♯ D♯ F♯ G♯
イタリア シ♭ ド♯ レ♯ ファ ファ♯ ソ♯
三味線 一本 二本 三本 四本 五本 六本 七本 八本 九本 十本 十一本 十二本
尺 八 二尺三寸 二尺二寸 二尺一寸 二尺 一尺九寸 一尺八寸 一尺七寸 一尺六寸 一尺五寸 一尺四寸 一尺三寸 一尺二寸

 一の糸の高さを決めた後、調子を合わせますが、本調子と二上りのあわせ方を示します。
 下記の図のように、三味線の二の糸の高さを一の糸のCを押さえた音の高さにあわせます。続いて三の糸の高さを二の糸のEを押さえた音の高さに合わせます。これが本調子の音程になります。
 二上りは、二の糸の高さを一の糸のEを押さえた音の高さにあわせます。続いて三の糸の高さを二の糸のCを押さえた音の高さに合わせます。
 音の高さを決める三味線の感所は、図に示したとおりとなっておりますが、棹に感所を印した「譜尺」を貼ることにより簡単に押さえることができます。